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教育再生、喫緊の課題(参考写真)〔AFPBB News〕

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 今回の自民党はその典型だろう。マニュアルに見当たらない困難に直面すると、思考停止に陥ってしまう、あるいは逃げ出してしまうのだ。この政党の自滅には、戦後教育の欠陥が如実に表れている。

 民主党政権が「子ども手当」を導入したところで、日本の教育が再生するはずもない。与えられた問題を解くだけでは、グローバル競争に対応できないのだ。問題をつくる能力、すなわち「自分の頭で考えられる能力」を早急に向上させるよう、教育の「形」を創り変えなければ、日本の未来は決して開かれない。

見えない成長エンジン、「所得再分配」だけでは・・・

 麻生首相は選挙戦で「経済成長政策のない政党(=民主党)に景気回復は実現できない」と訴えていたが、果たしてそうだろうか。

 民主党がマニフェストで掲げた経済政策のうち、子ども手当の導入などは国内総生産(GDP)を押し上げる半面、公共事業削減などはそれを押し下げる効果をもたらす。換言すれば、予算の無駄を削って確保した財源を家計に回すという「所得再分配」が柱なのだ。

 野村証券金融経済研究所によると、民主党政権の政策が実質GDP(国内総生産)に及ぼす影響はネットで2009年度▲0.4%ポイント、2010年度0.1%ポイントと極めて小幅にとどまり、「景気見通しに対する大きな修正材料にはならない」と予測している。

 大和総研も同様に、政権交代に伴う成長率変化を2009年度▲0.23%ポイント、2010年度0.12%ポイントと試算した。自民党が喧伝した民主党政権下の景気失速は、現時点では可能性が低いと見てよいだろう。

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日本経済、次代のエンジンは?(参考写真)〔AFPBB News

 しかしながら、民主党の経済政策も目先のバラマキが並んでいるだけだ。中長期的に何をエンジンに据え、日本経済の持続的な成長を実現していくのかが見えない。

 みずほ総合研究所は成長戦略に関する民主党のマニフェストを「全般的に簡素な記述で、目新しさにも乏しい」「国としての潜在成長力を高めるためには、新規産業を中心とした企業競争力の強化も不可欠である」と指摘している。

 「世界第2位の経済大国」の座を中国に明け渡す日が迫っている。産業構造の「形」を創り直さない限り、大国の没落に歯止めは掛からない。

NPOに「日本再生」期待、環境・農業・教育・福祉で活用

 「各政党が敢えて総選挙のマニフェスト(政権公約)では触れなかった2つの大きな課題に新政権は直面する」――。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科の保井俊之教授はこう指摘する。

 1つは、株式や債券などの市場が新政権にどういう評価を下すかだ。保井氏は「足元の巨額に上る国債発行や、国際的な銀行の自己資本比率規制の強化にどう対処するのか。消費税を含む税制見直しなどを通じて、中長期的に財政をいかに安定させるのか。市場は新政権を試そうとするだろう」と予測している。

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環境や福祉、NPO活躍の場に〔AFPBB News

 2つ目が、NPO(非営利法人)の機能をいかに充実させていくかという課題だ。日本の社会では事業主体が「官か民か」の二者択一になってしまうが、欧米ではNPOが一定の役割を担い、市民社会を支えている。

 「原則として税金は官が使い、企業が稼いだカネは企業が使うだけ。その結果、官の事業が行き詰まり、市場に委ねれば暴走してきた。今後はこうした分野ではNPOがますます活躍できるシステムを整備しないと、日本の社会全体が立ち行かなくなる」――。保井氏は警鐘を鳴らすとともに、環境や農業、教育、介護など社会福祉の分野でNPOが活躍できる「仕組み」を構築するよう提言している。

 米欧のようにNPOがアントレプレナー(起業家)精神を発揮し、官と民の中間領域で活躍すれば、社会の閉塞感を打ち破って「日本再生」の道が開かれる。NPOに対する優遇税制措置などを思い切って拡充し、「公金」を永田町や霞が関の独占状態から解き放つべきではないか。

 官僚と敵対しても、山積する課題に対処できない。日本の持つリソースを全て使いこなし、常識にとわわれない発想で国の「形」を創り直すことが喫緊の課題。そのビジョンを示せないなら、「第2」自民党政権が誕生するだけのことだ。