「JANA誕生」は幻のスクープだが・・・

全日空、24時間ストに突入 149便欠航へ

JAL+ANA=JANA?〔AFPBB News〕

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 日航と言えば2009年の年明け早々、一部の週刊誌が全日本空輸との経営統合を報じ、「『JAL・ANA』大統合で日本の空が変わる!」の見出しが踊っていた。

 「JALとANAが統合し、従業員8万人の巨大キャリア『JANA』の誕生か――。航空業界関係者の間で、JALとANAの統合説が急浮上している」で始まるこの記事には当初、高い関心が集まった。

 しかし、それは長続きしなかった。関係者が即座に全面否定したからである。「荒唐無稽」「事実無根」・・・。確かに長年のライバルである日航と全日空が1つの枠に収まり、日本の航空会社は1社だけになるというのだから、実現すれば驚きを禁じ得ない。

 だが、その可能性は低いように思えた。1社になればすぐさま、国内線では競争原理が働かなくなり、国民は比較のしようのない運賃を一方的に押し付けられかねない。そうした経営統合を独禁政策当局がみすみす認可するものなのか。普通であれば、許すはずがない。

 しかし、どの立場にいるのかは分からないが、週刊誌報道にあるように、そうした構想に頭を巡らす人間がいるのは確かなようである。日航はどうなることやら分からない。だから、全日空との統合も頭から「無理だ」と検討項目から排除するのでなく、可能性がごくわずかでもありそうなら、選択肢の1つとして残し、検討しておくべきだとでも、その人間は思っているのだろう。

「天秤棒」を担いで、日航は独り立ちを!

 全国には多くの地方空港がある。2009年6月開港した静岡空港を含め、その数は98に上る。日航の経営が傾くような事態になれば、国内の航空ネットワークをこれまで同様の形で維持することはできない。地方空港を抱える地域の経済をはじめ、国民生活に多大な影響を与える懸念がある。

 だからこそ、政府は日航に対し手厚く支援するしかないと言うのだろう。しかし、そうした関係を政府が続けることで、日航が本来目指すべき「独り立ち」という方向性を阻んできたという側面もないとは言えまい。

 染み付いた甘え体質。今のままでは再び日航が政府に支援を求めてくる可能性は、間違いなくあるだろう。日航は切羽詰まった状況に追い込まれており、しかもそれは、そんなに遠くない時期なのかもしれない。

 落語の「唐茄子屋政談」は、道楽が過ぎて大旦那に勘当された若旦那が唐茄子(かぼちゃ)売りを通じて信用を取り戻し、最後には勘当が解かれるという一席である。勘当で親との関係が断ち切られ、天秤棒を担いで唐茄子を売りながら、初めて若旦那は人の気心に触れ、その後の展望が開けるのである。

 日航は日本経済にとって欠かせない存在だ。しかし、特別ではない。時代のニーズ、利用者のニーズに合わせて自らの力で変わっていかねばならない。まずは政府に依存する関係を断ち切る。そこから始めたい。