相次ぐ金融危機発生と資金繰りへの懸念から、米国経済は9月以降、「フリーズ状態」とも形容すべき急速な悪化に見舞われている。筆者は各種経済指標の出方からそのように認識しており、すでにリセッション入りしている米国経済は、その深化・長期化を警戒すべきステージに移行している。
21日にシカゴ連銀が発表した9月の全米活動指数(The Chicago Fed National Activity Index;CFNAI)は、そうした見方を肯定するものになった。CFNAIは今回、▲2.57に急低下(前月比▲0.96ポイント)。
これは、ITバブル崩壊後の前回景気後退期のボトム(2001 年6・9月の▲1.58)や、湾岸危機前後からの前々回景気後退期のボトム(1990年11月の▲2.20)を下回り、82年1月(▲2.89)以来の低水準である。後述するようにハリケーンが寄与した部分もあるが、その前から落ち込みの角度はきつい。
シカゴ連銀が景気判断を下す上で重視している3カ月移動平均ベース(CFNAI-MA3)も急低下し、▲1.78になった(前月比▲0.60ポイント)。シカゴ連銀は、「リセッションが始まった可能性が増大していることを10カ月連続で示すものだ」とコメントしている。
単月のCFNAI▲2.57へのカテゴリー別寄与度を見ると、生産・所得関連が▲1.60ポイント(前月▲0.67ポイント)で最大である。ハリケーン要因や大手航空機メーカーストの影響で、9月の鉱工業生産が前月比▲2.8%と、1974年12月以来の大幅な落ち込みを記録、設備稼働率も急低下したことが響いた。