はじめに
平成23年3月11日に発災した「東日本大震災」は、M9という超巨大地震災害、地震に伴う津波災害、福島第一原発災害を惹起し、大規模広域複合災害という我が国災害史上未曽有の被害をもたらし、発災から2カ月有余の本稿執筆時点(5月19日)においても収束が見えない状況である。
本災害救援活動において特筆すべきは、米国をはじめとする世界各国からの極めて広範かつ緊要な支援を得たことであろう。本稿では、各国からの支援状況、特に外国軍隊による災害救援活動を瞥見する。
次いで、主としてアジア各国の国際災害緊急援助活動の枠組みを整理し、それとの比較において我が自衛隊が行う国際緊急援助活動の概要および域内における2国間および多国間取り組みを紹介する。
I 東日本大震災における諸外国の我が国に対する救援・支援など
1 全般
(1)5月13日現在の各国の活動状況
22カ国、4国際機関延べ約1200人が活動に従事、図表中赤字は活動終了、青字は活動継続中である。国名を列記するにとどめ、詳細は省略する。
シンガポール、ドイツ、スイス、米国、英国、中国、メキシコ、台湾、豪州、ニュージーランド、韓国、フランス、モンゴル、イタリア、ロシア、インドネシア、トルコ、南アフリカ、イスラエル、インド、ヨルダン、タイ、スリランカ
(2)同じく5月13日時点の各国軍(米軍除く)等の活動状況
(3)諸外国などからの物資支援・寄付金
外務省がまとめた5月6日時点の資料によれば、計146の国・地域および計39の機関が支援意図(一般的な支援表明、人的支援・物的支援・寄付金)を表明した。
物資支援は、49カ国、寄付金は77カ国総額150億円以上である。中には、大半の国民が国名を聞いてもその位置を正確に答えられないような遠い国からの心温まる支援もある。我が国の永年にわたる地道な国際貢献・国際交流の然らしむるところだろうと思料する。
また、今上陛下や総理・外相などにお見舞いのあった国・地域・国際機関の名称が、A4用紙に細かい字で列挙記載されているが、その数11枚に上る。