2011年6月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行

 今回の東電の事故で被害を被っているのは、人間だけではありません。震災まで大事に飼われていたペットや家畜たちが数多く犠牲になっています。

ペットたちの原発

 「玄関に鍵だけかけて、財布すら持たずに避難したんです。だってすぐに帰れるというニュアンスだったから。以来、一度も帰れていないんです。帰りたくても避難所(埼玉)からは遠いし金もない・・・」

 こう涙ながらに話されていた富岡町の主婦。涙の訳は家に残してきた猫3匹、犬3匹、ヤギ1匹、そしてウサギ10羽のこと。

 その時、既に震災から1カ月以上が経過していました。1カ月も経過すると室内に置き去りになった動物たちの生存率はわずか1割。ボランティアが飼い主の依頼を受けて家に入ってみるとそこには「飼い猫が共食い」しており、背骨と頭だけ残った無残な死体がありました。

 震災前までは飼い主さんの膝の上で長閑に喉を鳴らして幸せだったであろう猫の変わり果てた姿です。鎖でつながれたままの犬の多くも餓死しています(被災地の現実)。室内で共食いをしたショックな写真もありますので、閲覧注意です。

餓死する動物

 多くの民間ボランティアが危険を冒して警戒区域に指定される直前までレスキューをしました。なぜなら、何も持たずに避難をした飼い主さんたちの多くが戻れずにいたこと、そして一時的に戻れたにしても避難所では動物を飼うことができないため、ペットを連れ出すことがどうしてもできなかったためです。

 ボランティアが町に入ると、首輪をしていても、リードのない犬がワラワラと出てきます。これは飼い主さんや、飼い主さんに頼まれ一時帰宅できた近所の方が「生きてほしい」と、鎖を外したのでしょう。

 多くの犬が人間に慣れており、人を見ると寄ってきて餌をせがみます。空腹なのです。レスキューされた子の中には空腹からビニールや軍手まで食べてしまっており、調子を崩していた子もいます。