マット安川 「日本の外交や震災対策は、お隣韓国からも不安に感じられる――」。冒頭から最後まで、今回のゲスト・池東旭さんは、日本の現状を自国のごとく怒り、また不安を語っておられました。総理のリーダーシップや日韓関係についてなど、鋭いご指摘ばかりです。

日本が尊敬されないのは、リーダーがダメだから

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:池東旭/前田せいめい撮影池東旭(ち・とんうく)氏
ジャーナリスト 韓国慶尚北道大邱生まれ。韓国日報勤務を経て、1981年『週刊韓日ビジネス』を創刊。経済、国際問題など朝鮮半島の諸問題に関する論評を展開する。著書に『コリアン・ジャパニーズ』(角川oneテーマ21)、『韓国財閥の興亡―癒着と相克のドラマ』(時事通信出版局)など。(撮影:前田せいめい、以下同)

 東日本大震災後、被災者の秩序ある行動は韓国でも大きく報道されました。みな感心したものですが、一方で「それに引き換え国のトップは・・・」という声もよく聞かれます。

 ある新聞など、日本の国民は立派だが企業は二流、官僚は三流、政治家は四流、と書いていました。これには私も同感です。忍耐強く節度をわきまえた素晴らしい国民と、上の連中とのギャップが大きすぎます。

 今の日本は海外から尊敬されていません。バカにされていると言ってもいい。それはひとえに、リーダーがダメだからです。

 G8を報じたフィナンシャル・タイムズの写真は象徴的でした。他の国のトップ7人はみんな写っているのに、菅(直人)さんだけが見えないんです。「後ろに菅総理が立っている」という説明があるだけ。完全にバカにされています。かつての中曽根(康弘)総理など、いつも真ん中に写っていたものです。

 菅さんは行政経験がないせいで官僚組織を動かせず、政治主導と言いながら何もできずにいる。国内政治がうまくいっていなければ外国に強いことを言えませんから、外交もうまくいかないわけです。

 もっとも彼の実力不足以前に、総理がコロコロと代わりすぎるという問題もある。ある日本人に、政治に不満があるのになぜデモをしないのかと尋ねたら、どうせ総理は1年で辞めるんだから無駄だと言われました。

 G8に集まった諸外国のトップも思いは同じでしょう。来年はまた違う人が来ると思えば、まともに話をしようという気にならないのも当然です。

今の日本には世論の反対を押し切る独裁者が必要

 今回の大震災は日本にとって、国家改造のチャンスだと思います。振り返れば日本は、大きな震災があるたびに生まれ変わってきました。幕末に起きた安政の大地震しかり、1923年の関東大震災しかりです。

 むろん辛い出来事ではありますが、「災い転じて福となす」という言葉を思い起こしてほしいと思います。