米CNBCは米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏が、トランプ次期米政権について楽観的な見方を示したと報じた。2024年12月初旬に米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が主催したイベントに登壇し、「次期政権ではより友好的な規制環境に期待している」と述べた。
ベゾス氏とトランプ氏はかつて犬猿の仲といわれた関係だった。だが、ベゾス氏は「今回は実際、とても楽観的だ」とステージで述べた。「彼(トランプ氏)は規制緩和に非常に意欲的に取り組んでいるようだ。もし私がそれを助けることができるなら、彼を支援する」と明るいトーンで述べた。ベゾス氏は「彼は最初の任期時よりも冷静で、自信に満ち、落ち着いているようだ」とも付け加えた。
トランプ氏とベゾス氏、かつては口撃の応酬
かつての両氏は、非難の応酬を繰り広げる関係だった。トランプ氏は最初の任期中に公然とベゾス氏を批判していた。ベゾス氏や、同氏が保有する米紙ワシントン・ポスト、そしてアマゾンを繰り返し口撃し、「フェイクニュースの発信源」や「税金逃れ企業」などと非難していた。
トランプ氏は、アマゾンが商品配達に米郵政公社(USPS)を利用していることを再三批判し、「USPSを『配達員』扱いするアマゾンの行為が財政難の一因だ」と主張。アマゾン向け配送料を倍増するようUSPSに要請したこともあった。
19年、アマゾンは「JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure)」と呼ばれていた米国防総省の契約コンペで失注した。これは数十億ドル(数千億円)規模のIT(情報技術)システム近代化計画に関するサービス契約だった。アマゾンはこのとき「評価過程に組織的な偏見や不誠実、トランプ大統領の不当な威圧があった」と主張し、米政府を提訴するに至った。
16年の大統領選挙前、ベゾス氏はトランプ氏の行動を批判し、「我々の民主主義を蝕(むしば)む」などと述べていた。これに対しトランプ氏は「ベゾス氏はワシントン・ポストを『税金逃れの手段』として利用している」と口撃。すると、ベゾス氏はX(旧ツイッター)で「トランプ氏を自身のロケットで宇宙に送り込む」などと提案した。ベゾス氏は宇宙開発会社ブルーオリジン(Blue Origin)を率いている。