日本が求められる「戦域展開」の現実

掃海艇派遣は、実は「日本のブーツ・オン・ザ・グラウンド*1

 日本が掃海艇を出すという決断は、海上自衛隊だけの話ではない。実際には、海・空・陸・指揮の総合展開を伴う「戦域参加」そのものである。

*1=戦場や現地に地上部隊を派遣・展開すること。米国が他国へ地上兵力の投入を求める際に使われることが多い。

陸上自衛隊:ジブチ拠点の地上防護

 中東・アフリカ地域の戦略的要衝であり、自衛隊唯一の海外拠点があるジブチの港湾・補給拠点・指揮所の防護、破壊工作対策、地上脅威への備えが不可欠。

航空自衛隊:防空・警戒・空域管理

 ジブチ上空の防空バブル維持*2、米軍との空域統合、輸送・給油の支援。

*2=一定空域で友軍の活動を確保するため、敵の航空・ミサイル脅威を探知・追尾して迎撃・妨害で抑え込み、防空圏を維持すること。

統合司令部:海・空・陸の一体運用

 ジブチに統合指揮所を設置し、米中央軍(CENTCOM)とリアルタイム連接。情報・電子戦・武器使用基準(ROE)の統一。

海自:掃海部隊の「実戦任務化」と掃海隊護衛の自衛艦隊派遣の必要性

 機雷、無人艇、無人機、対艦ミサイルが重層的に飛び交う世界で最も危険な海域での作戦。加えて、無力な掃海隊をイスラム革命防衛隊の攻撃などから防護する自衛艦隊戦力の必要性。

 高市訪米までに水面下で進む「実務調整」

 ホルムズ海峡封鎖が長期化する可能性が見えた瞬間から、日米の事務当局(防衛省・米国防総省、外務省・米国務省)は水面下で動き始めている。

 ここで詰められるのは、政治家の会談とは別次元の、「実際に動かすための裏の設計図」である。

●日本が担当する海域
●掃海艇の行動範囲と武器使用基準(ROE)
●ジブチ拠点の防護体制
●空自の防空・輸送・空域管理
●CENTCOM(米中央軍)との情報共有プロトコル
●補給・整備・医療・撤収計画
●有事版「思いやり予算」の枠組み
●日本側の政治的「落としどころ」の確認

 これらは、掃海艇を出すなら必ず必要になる「国家レベルの準備」である。