翌日のCCTVは「高市勝利」をスルー

 私が驚いたのは、選挙翌日の9日のCCTV(中国中央広播電視総台)の朝・昼・夜のメインニュースで、日本の選挙関連ニュースが一度も報じられなかったことだ。ひねもす「完黙」したのである。

 まさに日本の政権にとっての「吉事」は、中国にとって「凶事」ということなのだろう。中国で官製メディアは「共産党の宣伝機関」という位置づけなので、「宣伝したくない内容」は流さないのである。

 共産党系の国際紙『環球時報』では、さすがに無視というわけにもいかず、開票が進んだ8日深夜、長文の記事を流した。ほとんどは日本メディアの引用だったが、二人の日本専門家が、以下のようなコメントを出していた。

 一人目は、盧昊・中国社会科学院日本研究所総合戦略研究室主任だ。

「保守勢力が安定して国会を掌握する前提の下で、高市は改憲や強軍など右翼的政治を進めていくのに、さらに制限が弱まった。高市は今後、『安保三文書』を急ぎ改正し、安全防衛政策の制限をさらに解き、国家の軍事装備能力を強化するだろう。

 高市政権は『政治大国』『軍事大国』の戦略的方向を目指しており、『再軍事化』を積極的に推進している。その挙措は高度にシステム化され、長期的な設計を持っている。『平和憲法』第9条の戦争権放棄規定と『専守防衛』の国防原則を実質的に空文化し、さらに攻撃的で威力のある軍事能力を発展させ、さらに海外での軍事行動の権限の範囲を拡大していくだろう」

 二人目は、項昊宇・中国国際問題研究院アジア太平洋研究所特任研究員だ。

「日本はさらにアメリカをがっちり掴み、米欧アジアの盟友を引き込み、中国への対抗・牽制姿勢を強化していくだろう。地域の安全体制の主導的な地位の維持保護を企図し、合わせて東シナ海・台湾海峡・南シナ海などの問題で、歴代政権よりもさらに直接、さらに強硬に干渉する姿勢を進めていく。日本の右翼勢力の戦略的冒険とギャンブル性は、おそらくさらに一層増強され、対中政策の対抗性はさらに顕著になっていくだろう。そのため、中日関係は言うまでもなく、峻厳な挑戦の時代となり、もしくは新たな火種が起こってくる。

 歴史問題、領土・海洋の争議、経済安全保障上の問題で、高市政権はおそらく、さらに挑発的な行動に出るだろう。それは当然ながら、中国側の強力な対抗措置に遭うことになる。

 高市の毒化政策は、日本の内外で多方面の牽制を受けるので、現実的な利益のために、引き続き対話姿勢を取り続け、中日の緊張局面を緩和しようとする。こうした両面性に対して、中国は警戒を続ける必要がある。原則を堅持しつつ、日本に誤りの修正を促し、日本が地域の平和と安定を破壊し、再軍事化を強く企図していることを、決然と阻止していくべきだ」

 このように、二人とも大変厳しい論調で、かつ「ファイティング・ポーズ」を取り続けているのだ。