練習中のケガにより、スキー スロープスタイル 女子予選を欠場せざるをえなかった近藤心音(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
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 熱狂は、いつだってまぶしい。開幕したばかりのミラノ・コルティナ冬季五輪は日本勢が序盤から表彰台に立ち、会場の空気を一気に熱くした。

 男子スノーボード・ビッグエアでは木村葵来選手(ムラサキスポーツ)が金、木俣竜真選手(ヤマゼン)が銀。女子ノーマルヒルでも丸山希選手(北野建設)が銅メダルを獲得し、大会2日目の1日にしていきなり「金・銀・銅」揃い踏みとなり「今大会の日本は違う」と思わせるだけの結果が並んだ。

 だが、五輪とは不思議な舞台である。歓声と拍手が渦を巻くほど同じ瞬間、同じ雪上で、まったく逆方向の物語もまた進行する。メダルの光が強いほど、そこからこぼれ落ちる影は濃くなる。

2大会連続で無念の棄権

 2月7日(日本時間8日未明)、リヴィーニョのスノーパークで行われたフリースタイル女子スロープスタイル予選。日本代表の22歳・近藤心音選手(オリエンタルバイオ)は欠場となった。2日前の練習中の転倒で左膝を負傷し、前十字靱帯や内側側副靱帯、半月板、骨挫傷といった深刻なダメージが伝えられている。

2月5日、練習中に転倒してケガを負った近藤心音。この後、救急搬送された(写真:AP/アフロ)

 思い出されるのは4年前だ。北京冬季五輪でも近藤選手は代表に選ばれながら、公式練習での転倒で右膝を痛め、本番を前に涙の欠場となった。そして今回は「リベンジ」の舞台で、再び同じようにスタートラインで立ち尽くすしかなかった。

 しかし、ここからが重要だ。欠場そのものが悲劇なのではない。傷を負った当事者が逃げることもできたのに説明の場に立ち、言葉を絞り出し、受け止めるべきものを全て受け止めた。その姿が今、この五輪の“もう一つの核心”になっている。