平和的統一は可能なのか?

 この報告の中で言及された「92年コンセンサス(九二共識)」とは何か。これは、中国と台湾の窓口機関(中国・海峡両岸関係協会、台湾・海峡交流基金会)が、1992年に香港で行った協議で、「一つの中国」という原則について口頭で確認したとされる共通認識のことである。

2015年11月には、シンガポールで習近平主席と台湾の馬英九総統との首脳会談が電撃的に開催された。中華人民共和国が建国された1949年以来、中国と台湾の“両岸首脳”による会談は初めてのことだった(写真:共同通信社)

 しかし、その解釈について中国と台湾とでは食い違っている。中国が「一つの中国」の原則(一中原則)を堅持するのに対して、台湾は、「一つの中国」が中国を指すのか台湾を指すのかは各自が解釈する(一中各表)という。

 92年コンセンサスは、主権問題を棚上げにして交流を進めるための政治的知恵であったが、民進党政権は92年コンセンサスの存在を認めていない。

 したがって、民進党政権下では、92年コンセンサスが台湾問題の解決に役立つことはない。

 2025年12月23日、アメリカ国防総省は、中国の軍事動向に関する年次報告書を公表し、「2027年末までに、中国が台湾に侵攻し、勝利する能力を持つ」と分析した。中国は、現在約600発の核弾頭を保有しているが、2030年までに1000発以上になると予測している。

 さらに、2035年までに、空母を9隻体制にしようとしているという。現在、米軍は11隻の空母を保有している。国防総省は、危機感をあらわにしている。