ただ、今井先生は、現在ちまたで流行っているNMNの点滴療法には問題があるといっています。
 
 自費診療のクリニックなどを中心にアンチエイジング療法として人気で、芸能人やインフルエンサーにも愛好者が少なくありませんが、点滴療法を長期に行うと障害を起こす可能性があります。

 人間の体内にはNADを壊す酵素があり、NMNの濃度が上がりすぎると、この酵素を働かせるスイッチがオンになって、NADを逆になくしてしまうことが明らかになっています。

 最近の研究では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の一部の患者ではこの酵素が活性化し、常にスイッチが入った状態になってしまっていることが明らかになっています。

 口から摂取する場合は、腸のセーフティーネットが働きますが、点滴で血液中に注入してしまうと、それが働かないのでこの酵素が常に活性化しかねません。現時点では、非常にリスクが高いといわざるをえないでしょう。

視床下部が老化のスイッチを握る司令塔

 今井先生はこの研究を通じて、人間の体の老化のメカニズムを明らかにしようとしています。

 老化は抗えないモノではなく、どこかに何かしらのスイッチがあって、それでコントロールされているのではと考えているんですね。

 そして、脳の視床下部が老化のスイッチを握る司令塔ではと指摘しています。