AWS、AI需要で20%成長に再加速
収益の柱であるクラウド事業「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の売上高は、前年同期比20%増の330億600万ドルだった。
この20%という成長率は2022年10~12月期以来であり、生成AIの需要が成長を再加速させていることを示した。これにより、AI対応で競合他社に後れを取っているとの市場の懸念を和らげた。
AWSの営業利益は9%増の114億3400万ドルで、アマゾン全社の営業利益の66%を占めた。
AIインフラ投資を積極化、27年に容量倍増へ
アマゾンは、旺盛なAI需要を取り込むため、データセンターへの投資を急拡大している。7~9月期の設備投資額は、前年同期比55%増の350億9500万ドルに達した。
2025年通期では1250億ドル規模の投資を計画する。
ブライアン・オルサブスキーCFO(最高財務責任者)は、AI投資は「長期にわたり高いリターンを生む可能性がある大きな機会だ」と述べ、2026年も投資を増やす方針を示している。
アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は決算説明会で、クラウドとAIサービスへの需要が「供給能力を上回っている」と強調。
「現在、業界全体のボトルネックは(データセンターの)電力かもしれない」と述べ、供給体制の構築を急ぐ考えを示した。
アマゾンは2027年末までにデータセンターの電力容量を2022年比で倍増させる計画だ。
一方、人員削減については、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下の過度な採用を是正し、現在の技術変革期において「無駄なく、迅速に行動する」ための組織文化を維持する狙いがあると説明した。
年末商戦も強気、2桁成長見込む
アマゾンは、年末商戦を含む10~12月期の業績見通しについて、前年同期比10~13%増の2060億~2130億ドルになると発表。営業利益も210億~260億ドルと、好調な見通しを示した。
今回の決算は、ECと広告という既存事業の盤石さに加え、AWSがAI需要を背景に2022年以前のような高成長軌道に戻ったことを強く印象付けた。
FTCとの和解など一時的なコストを吸収しつつ、アンソロピックへの出資と巨額の設備投資という「二正面」でAIの覇権争いに臨む姿勢が鮮明となった。