週刊朝日に掲載されたのは1996年2月である。
一巻の厚さは5ミリほどしかない。
他の巻の半分、あるいは3分の1の厚さである。
その巻の薄さが、司馬の72歳の不慮の死を表していて、なんともいえない寂寞感がある。死因は腹部大動脈瘤破裂とされている。
『街道をゆく』を終わりたくない
全43巻を読み終わったあとしばらくは、『街道をゆく』を読み終えた空気から離れる気分になれなかった。
その後、司馬の死後に編まれた朝日新聞社編『司馬遼太郎の遺産「街道をゆく」』(朝日文庫、1996)と、『街道をゆく 夜話』(朝日文庫、2007)を、余韻を愉しむように読み、最後の6年間『街道をゆく』を担当した村井重俊記者の、余滴のような『街道をついてゆく』(朝日文庫、2011)を読んだ。
それでもまだ司馬遼太郎を終わりたくなくて、斎藤慎爾編『司馬遼太郎の世紀 保存版』(朝日出版社、1996)を購入した。
しつこく『司馬遼太郎の現在地』(朝日新聞出版、2023)と、『司馬遼太郎「街道」の原点』(朝日新聞出版、2024)も買った。
まだまだ終わらなかった。
総仕上げとして、夫人・福田みどりさんの『司馬さんは夢の中』(2008)、『司馬さんは夢の中 2』(2008)、『司馬さんは夢の中 3』(2012、いずれも中公文庫)を購入し、読んだ。また新たな感慨があった。