信頼性の乏しいAIは間違いなく淘汰される(Pixabayからの画像)
ディズニーの最新映画『トロン:アレス』をご覧になった方は、あのレーザーで物質化されるシーンを鮮明に覚えていらっしゃるのではないでしょうか。
(参考:「ディズニー最新作『トロン:アレス』が見据えた、AI全盛で信頼性を著しく欠いた社会」)
サイバー空間のデータが、リアルな物質として再構成される。しかも、そこに宿るのは単なるプログラムではなく、意識を持つAIです。
今作が描いたのは、デジタルとフィジカルの完全な融合でした。
そして物語の中心には、AIを信じてよいのかという、私たち人間に向けられた根源的な問いがありました。
劇中では、「ゼロトラスト」や「プロンプト」といった現実のAI業界でも使われる用語が繰り返し登場しました。
それはもはやSFの小道具ではなく、私たちが今まさに直面している現実そのものです。
『トロン:アレス』が投げかけた本質的なテーマは、テクノロジーの進化ではなく、信頼という人間的な感情をAIとどう共有するかという課題でした。
そしてこの問いに真正面から向き合おうとしているのが、世界で注目されている概念トラストワーシィAI(Trustworthy AI)です。
「Trustworthy(トラストワーシィ)」とは信頼に足る、安心して任せられるという意味です。
トラストワーシィAIとは、単に正確なAIを作ることではなく、社会の中で安心して共存できるAIをどう設計するか、という新しい設計思想なのです。
欧州連合(EU)のAI倫理ガイドラインでは、信頼できるAIのために7つの原則を示しています。