色川冬馬氏(アジアンブリーズ提供)
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 色川冬馬氏にはNPBの「12球団合同トライアウト」や、独立リーグの公式戦など、様々な現場で顔を合わせる。

 アメリカ、アリゾナ州フェニックスでのウィンターリーグに「アジアンブリーズ」というチームを結成して参加する一方、独立リーグルートインBCリーグの「茨城アストロプラネッツ」のGMをつとめるなど、ユニークな立ち位置で活躍している。

 彼のキャリアについてじっくり聞いてみた。

大学の野球部を退部し単身渡米

「宮城県仙台市の出身です。中学から野球を始めて、高校は聖和学園高に進みました。昨年夏に初めて甲子園に出場しましたが、もともと女子高で、男女共学になって野球部ができ、僕はその二期生でした。一塁、三塁を守って打撃は得意でしたね。

 仙台大学に入学して、そこでも野球を続けるつもりだったのですが、その頃から日本の高校野球のあり方に疑問を感じていた。それに仙台大野球部は120人も選手がいて、僕は練習の手伝いとか環境整備ばかりで。スカウトされてはいったのではない普通の選手はそんなものですが、3年半しかない大学生活で、1年試合に出られなければもう2年半しかない。それよりも、海外に行こうと。

 もともとアメリカの野球に興味があったので、野球部は辞めて大学に籍を残して渡米しました」

 色川氏は、アリゾナで冬季に行われていたウィンターリーグに行くことにした。

「その当時、僕はプロ野球選手になりたいと思っていた。そのためにウィンターリーグにトライアウトを受けるために行ったのですが、最初のテストの60ヤードダッシュでハムストリングを切って何もできなかった。

 トライアウトを受ける費用を捻出するためにアルバイトをして、周囲の方にも応援してもらっただけに、本当に悔しくて。結局、このトライアウトでは何も得るものはなかったのですが、ここから僕は変わりました」