今年の夏の暑さは殺人的だった。写真は41度を記録した群馬県伊勢崎市(写真:共同通信社)
(岸 茂樹:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 上級研究員)
今年の猛暑を振り返る
ようやく少し涼しくなって、今年の暑さを振り返ることができるようになった。東京では最高気温が35度を超える日が何日も続き、外出をためらうほどだった。実際、暑くなると飲みたくなるビールも、今年は暑すぎて販売がふるわなかったようだ。
私は暑い日には過去の気象データをときどき見ている(気象庁、過去の気象データ検索)。例えば、今年の8月30日に東京では最高気温38.5度を記録したが、50年前の1975年8月30日の最高気温は31.6度だった。その差は6.9度。数字で比較すると異常さがよくわかる。
今から約30年前の1996年に私は上京し、東京都杉並区の4畳半の部屋に住んでいたが、その部屋にはエアコンがなかった。夏は汗をダラダラかいていた気がするけれども、1996年8月の気温を振り返ると最高気温が35度を超えたのは2日しかない。ちなみに、今年の8月はなんと18日である。
私の地元の名古屋では昔に比べて猛暑日が増えた一方、湿度が減少したという(大和田ら 2007)。しかし、東京ではそうした話は聞かない。都市によって温暖化の影響が異なることになる。温暖化というと気温が上がるだけだと思いがちだけれども、都市環境は実はさまざまで、気温上昇によってかなり違う顔を見せる。