「大学生ならいい仕事に就ける」と言われたのは中国でも今は昔。現在は大学生の急増により、有名大学だろうと就職先を見つけることは簡単ではなくなった。火に油を注ぐかのように金融危機が、企業の新卒大学生を雇う体力を奪い、大学生の就職戦線を一層厳しくさせた。
中国の大学の卒業生の数は、2001年は103万人、2002年は113万人だったが、そこから毎年数十万人規模で卒業生は増加。
2003年には187万人、2004年には239万人、2005年には306万人、2006年には413万人、2007年には496万人、2008年には569万人も卒業生が就職戦線に向かう。就職率も2001年には90%だったものが、2003年から2006年まで70%台前半となっている(2007年、2008年は数値が出ていない)。
金融危機で最も影響を受けた中国の地域は、外資系企業(工場)が最も集中する、広東省の珠海デルタ地域だ。外資系企業があまり進出していない内陸の省では金融危機の影響はもちろん、上海や北京でも広東省に比べれば金融危機の被害は軽微だ。
人口減から大型家電量販店も店じまい
多数の工場が閉鎖に追い込まれた広東省では、農村部からの出稼ぎ労働者が職を失って故郷に向かい、人口減から大型家電量販店ですら閉店に追い込まれた。ポジティブシンキングの中国人は、金融センターである上海ですら、一見する限りはこの金融危機にあってもいまだに贅沢を謳歌しているように見える。
しかし、広東省の珠海デルタ地域では、はっきりと、暗いのだ。
問題は、広東省が中国全土の新卒大学生の受け入れ率が最も高いことである。2008年の就職戦線の結果、広東省においては、省内の大学から省外に流出した卒業生はわずか5.1%しかいなかった。一方で、広東省全体の卒業生数の2倍近い190.3%もの卒業生が他省から広東省内に流入した。差し引きすれば、広東省の卒業生の285.2%が広東省内で就職したことになる。
この差し引きした数字をほかの地域と比較すれば、広東省に続く上海市ですら141.5%、北京市は97.5%で、いかに広東省内の企業が中国全土の新卒大学生を受け入れてきたかが分かる。その広東省が最も金融危機で被害を被っただけに、今年の就職戦線は未曽有の危機となるのは間違いなさそうである。