南海トラフ地震への対策を構築することで弱みを強みに
──希望はあるのでしょうか。
南海トラフ地震について、防災庁も含めて、まだ起きてない災害についてあらかじめ頑張ろうとしています。まだ起きてないけれど過去の経験に基づいて、なんとかしようとしています。
これから日本は弱くなっていくことでしょう。人口は減るし、経済も弱くなっていくから、今が最後のチャンスです。私たちには、まだ少しは力がある。ここで本気になって、国民も意識も変えて、次の災害を乗り越えられる社会にしなければ、未来の日本は危ういわけです。
逆に南海トラフ地震対策をきっかけにして、社会の弱みを強みに変えることができれば、新しい日本を作れます。防災産業をどんどん育成して世界中に貢献できるようにしたい。頑張って次の災害を乗り越えることができれば、世界中が尊敬してくれるでしょうから、やるしかありません。
そういうことを真面目に考える題材が南海トラフ地震の対策です。課題は全てあぶり出されています。この課題とどう取り組んでいくかが問われています。その一つとして議論されているのが防災庁です。
私は大学教員になる前にゼネコンで10年働いた経験があるので、民間の動き方もわかる。そして産官学の距離が近い名古屋にいたおかげで、こういう風に物事を考えられるようになりました。名古屋で生まれ育った地元愛もあります。
私たちの世代がいなくなると、阪神・淡路大震災以降の防災を進めてきた経緯が、わからなくなってしまう恐れもあります。戦後世代で高度成長期の時代を幸せにすごさせてもらった恩返しだと思って、頑張っています。
(完)


