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(英エコノミスト誌 2025年7月26日号)

電動SUV「YU7」を発表したシャオミの雷軍CEO(5月22日、写真:ロイター/アフロ)

自動車製造で成功を収めたシャオミが今、世界制覇を視野に入れている。

 中国の巨大テクノロジー企業、小米科技(シャオミ)を2010年に共同で立ち上げて以降、最高経営責任者(CEO)の雷軍(レイ・ジュン)氏は何度も見事なセールスマンシップを発揮してきた。

 10年前には、わずか24時間で210万台ものスマートフォンをオンラインで販売し、ギネス認定の世界記録を打ち立てた。

 だが、最近は安価な携帯電話の販売以外にも手を広げている。

 先月にはシャオミ初の電動スポーツ多目的車(SUV)となる「YU7」を市場に投入し、発売からわずか3分で20万台超を売り上げた。

めまいがするほどの急成長、EV事業の黒字化も視野

 ここ数年のシャオミの急成長は、文字通りめまいがするほどだ。

 スマホの世界販売台数ではシャオミを上回るのは米アップルと韓国サムスン電子だけだ。

 自社のスマホと接続できる家電製品――エアコン、ロボット掃除機、電動スクーター、テレビなど――も幅広く販売している。

 会社側が中国の家電製品市場での「激烈な競争」が原因だとする2022年の業績不振の後、シャオミは猛烈な勢いで立ち直り、昨年には売上高を35%増加させた。

 時価総額も2024年年初から4倍近く膨らみ、1兆5000億香港ドル(1900億ドル)に達している(図参照)。

 昨年3月に投入したスポーティーなセダン「SU7」に続く電気自動車(EV)「YU7」の発売に成功したシャオミは、アップルにできなかった偉業を成し遂げたことになる。

 アップルは10年かけて独自のEV開発に何百億ドルもの資金を費やしたが、結局断念せざるを得なかった。

 片やシャオミは2021年に自動車製造への進出を明らかにし、ここ15カ月間で30万台以上のEVを中国市場で販売した。

 今では1年かかっても応えきれないほどの受注残を抱えている。

 これまでのところEV事業は赤字だが、CEOの雷氏は、年内に黒字に転じるだろうと述べている。競争が恐ろしく激しい中国の自動車市場で見事な手腕を発揮した格好だ。