メディアのインタビューを終え、席を立つ立憲民主党の野田代表=20日夜、東京・永田町の党本部(写真:共同通信社)
与党の歴史的惨敗と新勢力台頭という大きな変動をもたらした2025年の参院選。明暗が分かれた結果はさておき、「組織運営」という視点で考察したいリーダーがいました。都知事選挙で3位に沈んだ蓮舫氏を、かなり強引に全国比例候補とした立憲民主党・野田佳彦代表です。私自身の政治的信条や見解とは可能な限り切り離して、リーダーシップとその責任について考えたいと思います。
(増沢 隆太:東北大学特任教授、人事・経営コンサルタント)
大勝利でかき消されたあの騒動
もはや遠い昔のようにすら思えますが、参院選の行われる前、候補者選びではさまざまな話題が飛び交いました。
日の出の勢いで大躍進が期待されていた国民民主党では、元衆院議員・山尾志桜里氏を公認決定したことで大紛糾。ご本人が出馬会見を開いたものの、過去のスキャンダルについての説明を拒否したことで大批判を浴び、結局国民民主党からの出馬辞退に追い込まれました。山尾氏だけでなく、候補に選んだ玉木代表への批判も強まりました。
しかし、国民民主党は選挙で勢力拡大に成功しました。それもあってか、なんとなく、山尾問題の責任を問う声も聞こえなくなったと思います。
山尾氏だけでなく、元格闘家の須藤元気氏に関しても、その擁立に批判の声が渦巻きました。過去のスピリチュアルな言動や政治行動への批判の声が、選挙前にはかなり聞かれていました。須藤氏は公認を取り消されることなく、全国比例候補として選挙戦を戦うことができたものの、結果的には落選しました。
今回大勝利を収めた国民民主党の玉木代表は、組織のリーダーとして結果を出しました。しかし、山尾氏や須藤氏の擁立を主導したことについては、明らかに失敗だったと思います。そんな中でも、議席4倍増という大躍進を果たせたことで、玉木氏は称賛に値する役割を果たしたと言って良いと思います。
玉木氏を批判したり持ち上げたりする意図は全くありません。いろいろな失敗はありながら、組織の責任者が負う責任=議席増が達成できれば、それより小さな失敗は注目を失い、勝利という栄誉を受けられるのがリーダーという立場だといえます。
