スマホの普及が梅毒の流行に一役買っている可能性がある(StockSnapによるPixabayからの画像)

 必ずしも広く報道されていないかもしれませんが、実はいま現在、日本は「過去最悪」規模で「梅毒」が大流行しています。

 注意を喚起する情報が疫学のネットワークで送られてきました。

 実際のデータで見てみましょう。

 6月第2週(2025年第24週)6月9~15日、1週間だけで確認された「梅毒」患者総数は199人。6月15日時点での今年の累計総患者数は6288人。

 ちなみに昨年2024年の累計患者数は1万4663人とのことですから、昨年に近いペースで拡大し続けていると言えそうです。

 6月9~15日の1週間で都道府県別のワースト5を記せば、

第1位:東京都 39人
第2位:大阪府 19人
第2位:福岡県 19人
第4位:神奈川県 11人
第5位:愛知県 10人

 トップ5の合計で98人、全感染者の約5割を占めており、都市部が流行の中心であることは間違いありません。

 7で割れば1日あたりの新規感染者数の目安が得られるでしょう。6月第2週に関して言えば、神奈川や愛知は毎日1人以上、大阪や福岡は毎日3人弱、東京はその2倍で毎日6人近くが、新たに梅毒に感染したと報告されているわけです。

 ただ、都市部中心といっても、どの地域が安全ということも言えないのです。

 今年4月に厚生労働省が発表した昨2024年から今年の第1四半期までの、梅毒感染状況の報告を見れば、北は北海道から南は沖縄県まで、日本全国、梅毒患者の確認されない都道府県はありません。

 人口百万人当たりに直して、今年一番感染者数の少なかった青森県でも4.0人、2位の岩手県も5.0人、最悪は東京都の59.2人。

 つまり、最悪の都市部に比較すれば少ないけれど、1桁少ない程度でしっかり罹患者は確認されているのです。

 前回は「SFTS」の感染拡大への対策を記しましたが、私の研究室に入ってくる疫学情報の中で、数の上でははるかに規模の大きい「梅毒」について、今回はポイントをまとめたいと思います。

 そう思った動機の一つは「学生罹患者」が少なくないという記載を目にしたことです。

 少なくとも「うちは大丈夫」と安心できる地域は、日本国内にはありません。また罹患者の年代ピークは、男性については20代から50代まで横並びですが、女性は20代が突出しています。

 ピンポイントの予防ケアが必要不可欠です。