ヤバイのはBYDだけじゃない
58同城は、米国に上場もしている優良企業だったはず。それが従業員の20%程度に当たる1万人の専門職をリストラするといわれている。従業員自身が、求人サイトなどに、警告なしに大規模なレイオフを言い渡されたと理不尽さを訴えるコメントを書き込んでおり、それがネット上で大きな話題となった。
時を同じくして、新エネルギー車の新興ブランド、哪吒汽車が破産を申請したことが報じられた。すでに浙江省の嘉興市中級法院で処理が進み、社名も合衆新能源汽車株式有限会社に変更し、政府の支援をうけて自力再建の方針という。これに伴い10億株が凍結された。

この2つの民営企業に関するニュースは、中国で大きな注目を集めた。これら企業は民営企業の雄として、ゆるぎない自信を見せて喧伝されていたからだ。この2社が事実上、経営破綻に追い込まれたということは、中国民営経済の土台自体がすでに崩壊しかけている、ということだと受け止められた。
独立系評論家の方源がラジオフリーアジアでこう語っていた。
「哪吒汽車の破綻は低価格・低技術企業の神話の破滅を意味し、中国の市場誘導政策の失敗の証でもある。国家補助金によって作られた新エネルギー自動車産業の神話が、技術不足と過剰な内向き競争のひずみという根本的な問題を抱えていることを露呈してしまった。58同城の大リストラは、民間の第3次産業の衰退と、民間のサービス需要の大幅な弱体化を象徴している」
すでにこのコラムでも紹介したが、中国が不動産産業政策の失敗の穴埋めと期待して力を入れている新エネ車・EV産業も、実はかつての不動産業と同じく、過剰投資、過剰生産、過剰在庫のバブル崩壊寸前状態で、BYDは新エネ産業界の恒大(不動産バブルの果てに破綻した中国最大民営不動産企業)になるという見方がある。哪吒汽車破産は新エネ車産業崩壊の序章になるかもしれない。
ちなみに58同城の苦境は、恒大の破綻に象徴される中国不動産バブル崩壊の余波が第3次サービス業に打撃を与えたことが大きい、と言われている。
実は民営企業だけでなく、公務員、国有企業もかなり厳しい状況にある。