汎用人型ロボットによるデータ収集がこれからのAI開発を左右する(Pixabayからの画像)

日本発OS・言語の汎用人型ロボット開発構想

 さらに、アーキテクトとしての立場から申し上げますと、汎用人型ロボットのOS(基本ソフト)には、日本の技術である「トロン」が最適です。

 言語は、同じく日本生まれの「Ruby」が良いでしょう。

 私はRubyビジネス協議会にも所属しており、「M Ruby」を開発した田中和明・九州工業大学准教授とも親交がありますし、まつもとゆきひろさんとも年に一度、一緒に講演をしています。

 私はもともとJavaのエンジニアで、「JavaのRails」のようなフレームワークを開発した経験から、まつもとさんと私が組めば、すべて日本国内で開発できたのではないかと考えることもあります。

「モバイルJava、つまり携帯電話のJavaを私が作ったのだから、プラットフォームはやはりJavaだろう」とおっしゃる人もいます。

 実際、ガラケーのトロンにはJavaのVMが搭載されており、その上でアプリケーションが動作する仕組みになっていました。

 トロンで進めるのであれば、Javaは有力な選択肢です。

 Javaであれば、私自身も大きなビジネスチャンスを得られるのですが、やはり日本人としては、自国の技術であるRubyで進めたいという思いがあります。

 OSは長年培ってきたトロンの技術があり、Rubyはまつもとさんが30年開発しており、M Rubyを開発した田中准教授も九州工業大学にいらっしゃいますから、必要なライブラリーはすべて揃っています。

 Rubyが動作するバーチャルマシンを開発し、その上でRubyで様々なアプリケーションを開発するという仕組みを構築すれば、中国も台湾も韓国も太刀打ちできないでしょう。

 なぜなら、彼らはOSもロボット用の言語もゼロから開発しなければならないからです。

 日本にはその経験と基盤があります。

 米国としても、日本のロボット技術が発展することは脅威でしょう。

 現在、国会議員の先生方にもこの計画をお伝えし、私も裏方として協力させていただいています。

 この計画において、ロボットが収集する情報が個人情報に該当するかどうかは、まだ明確ではありません。

 もし、ロボットが収集したすべての情報が個人情報として扱われ、サーバーへのアップロードが禁止されるようなことになれば、開発はそこでストップしてしまいます。

 ですから、ロボットに関しては、個人情報保護法の適用について、もう少し柔軟な対応を検討していただきたいと考えています。

 特に、国家として力を入れていくべき分野ですから。

 先日、山田太郎参議院議員がロボット議連を立ち上げましたが、まずはハードウエアメーカーを集めました。

 次はソフトウエアの標準化を図る必要があります。

 今後、日本がAIおよびロボット分野で世界的に競争力を持つためには、戦略的な取り組みが必要です。

 日本独自のOSであるトロンと、日本生まれのプログラミング言語Rubyを組み合わせた汎用人型ロボットの開発構想は、日本が持つ潜在的な優位性を最大限に活かす道筋を示しています。

 一方で、個人情報保護法など、技術発展を妨げる可能性のある法的課題についても柔軟な対応が求められます。

 官民が一体となり、明確なビジョンを持って取り組むことで、日本がAIおよびロボット技術の分野で世界をリードする未来を築いていくことができるでしょう。