実は収益性が高いパーキンソン病

 前回話を聞いた佐藤さん(仮名)がサンウェルズの問題として挙げたのが、厚生労働省が定める「別表第七(以下、別表7)」という病気の一覧表だ。一部例外といったルールを定めたものとなる。

 前述したように、介護保険では訪問看護の回数が週3回を上限に設定されているが、医療保険では1日3回になるため、週で言えば7日分の21回の訪問介護が可能になる。

 基本報酬や加算の仕組みによって算定されるため、必ずしも7倍とは限らないが、別表7に指定された20の疾患の場合に医療保険が適用され、その分、収益を増やすことができる。

 別表7に指定される疾患の一つにパーキンソン病が含まれている。それだけ、医療を必要とされる病気なので、手厚い訪問看護が認められているのだが、佐藤さんの話を聞いていると、サンウェルズがパーキンソン病に着目したのは収益のためではないかと感じざるを得ない。

 佐藤さんいわく、パーキンソン病の患者は難病の中でも人数が多い。別表7に該当する疾患を確認すると、パーキンソン病は、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数が23年度末で14万7481人に上り、同じく別表7に含まれる重症筋無力症の2万7371人、筋萎縮性側索硬化症の9727人などと比べて一桁多い。

 パーキンソン病全員が訪問看護を利用できる対象者ではないものの、訪問看護をビジネスとして見た場合には合理的な選択だ。

 さらに、それぞれの病気を比べてみたとき、「他の難病はすぐに気管切開になり、人工呼吸管理など高度な医療的ケアが必要となるケースが多く、手間やコストがかかる。その点、パーキンソン病は気管切開が必要となる段階まで進行するには時間がかかり、事業運営としても対応しやすい」(佐藤さん)。

 また、「別表7の中では末期がんも比較的多い疾患だが、末期がんの場合は容体が急変して短期のうちに亡くなる場合もあり、訪問看護の継続的な利用が見込めず、事業としての安定性は低い。一方で、患者数の多いパーキンソン病は長期的な生存が見込まれるケースが多く、事業の継続性が高い」(佐藤さん)という。

 佐藤さんの見立てによれば、介護住宅を運営する上で、パーキンソン病の患者を集めるのが最も手間が少なく、最大限の利益を得やすいのだ。