初任給アップでも先輩社員はさほど上がらない

 例えば初任給が3万円上がったからといって、既存社員の給与も3万円ずつ上がるのかというと、ほとんどの場合はそうではない。

 では、まったく上がらないのかというと、そんなこともない。

藤井氏の近著『ジョブ型人事の道しるべ』(中央公論新社)

「初任給だけが上がって、先輩社員の給与を追い越してしまうのでは・・・」という声も聞こえてくるが、入社2年目、3年目の給与が初任給を下回ってしまうようでは、先輩社員たちのモチベーションダウンは避けられず、大量離職に繋がるリスクもある。

 では、どうなるのか。

 先輩たちの給与も上がるが、初任給ほどの上げ幅ではないというのがその答えだ。初任給が3万円アップなら、2年目は2万5000円アップ、3年目は2万円アップというように上げ幅を逓減させながら、給与が逆転しない程度に調整する企業が多いと思われる。

 初任給のアップ額が3万円であれば、20代の半ば過ぎくらいまでの社員はそれに伴う給与調整がありそうだが、それより上の世代、特に40代から50代半ばの就職氷河期世代には何ら恩恵がないかもしれない。

 図に示すと次のようになる(次ページの図表2)。