不祥事が明るみに出たあと、80社近いスポンサーがCMを引き揚げた。無理もない。矮小化する向きもあるが、この問題は最初から典型的な人権問題なのだから。真っ先にCMをやめたトヨタ、日本生命、花王は社是で人権擁護を謳っている。

二度訪れたフジテレビの「黄金期」

 フジには視聴率の良い時代もあった。1982年から93年まで12年連続で視聴率3冠王を達成した。全日帯(午前6~深夜0時)、ゴールデン帯(午後7~同10時)、プライム帯(午後7~同11時)の3部門すべてでトップに立った。第1期黄金期である。原動力になった番組は『なるほど!ザ・ワールド』(1981年)などだった。

 2004年から10年までも7年連続で3冠王を成し遂げた。第2期黄金期だ。牽引車となったのは『トリビアの泉〜素晴らしきムダ知識〜』(2003年)などである。

 第1期黄金期の立役者は『オレたちひょうきん族』(1981年)などのプロデューサー・横澤彪氏。同氏はフジ系列のレコード会社に転出し、やがて定年を待たず1995年に退職する。その後は吉本興業東京支社長に転じた。

横澤彪氏(写真:共同通信社)
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「横澤氏の影響力と存在感が大きくなりすぎたため、日枝氏から疎まれた」(フジ関係者)

 日枝氏は1度目の黄金期の最中、編成局長から常務を経て社長になっていた(1988~2001年)。