順調とは言い難い「政治とカネ」改革

 政治とカネについては、自民党のキックバックと中抜き等の手法による派閥単位での組織的裏金疑惑発覚以後、30年ぶりといってよいほどに国民の政治に対する関心の主役に躍り出た。

 岸田政権下において、「政治改革」に先鞭がつけられた。岸田総理の事実上の退陣記者会見でも岸田政権の成果として特記された。

 また麻生派以外の自民党内の派閥も、ここに来て、実際に政治団体としての資格を取り下げたり、事務所を閉鎖したりするなど、ようやく実質的な活動停止が確認されるようになってきた。

 政治資金に関しても、その管理を政治家を責任者と位置づけて監督、確認する義務が生まれたこと、第三者機関の国会への設置が決まったことなどは、制度の細部は未だ明らかになっておらず注意を要するが、評価はできる。

 また報道ではあまり言及されていないが、政治資金パーティーの対価支払が口座振込に限定された。この改正によって、事後的にも相当程度資金の流れが追跡しやすくなるものと思われる。

 さらに、政党から政治家(候補者)個人に対する寄附、いわゆる政策活動費を受け取った側の政治家が使途を記録し、政党と共有し、政党側でその支出記録を収支報告書に記載しなければならなくなった。

◎総務省「政治資金規正法の一部を改正する法律の公布について(通知)

 こうした変化は、政治資金の透明化の改善に実効的に寄与するものと考えられる。

 しかし、課題は依然として残り、改革の進展も順調とは言い難い。