テンセント「当社は軍事企業でも軍需品供給業者でもない」
テンセントの広報担当者は、同社のリスト入りについて「明らかに間違いだ。当社は軍事企業でも軍需品供給業者でもない。制裁や輸出規制とは異なり、このリストへの掲載は当社の事業に何ら影響を及ぼさない」と述べ、「誤解があれば国防総省と協力して対処していく」と付け加えた。
CATLもまた、間違いであると強調した。「CATLは軍事関連の事業や活動に一切関与していない」とし、「必要であれば、この問題に対処するために法的措置を講じる」とも述べた。
国防総省の「中国軍事企業」リストは、中国に拠点を置き、米国で何らかの事業を展開している企業を対象にしている。これまで、通信機器メーカーの華為技術(ファーウェイ)や、通信事業最大手の中国移動(チャイナモバイル)、国有航空機大手の国航空工業集団(AVIC)、遺伝子解析の深圳華大基因(BGIジェノミックス)などがリストに入った。
トランプ政権、デカップリング戦略に利用か
米シンクタンク、民主主義防衛財団(Foundation for Defense of Democracies、FDD)中国プログラム担当上級ディレクター、クレイグ・シングルトン氏は、「リストに掲載されることの実質的な影響は、即時的な法的規制というよりも、むしろシグナリングと評判の失墜に関するものだ」と指摘する。
つまり、米政府の意図や立場を明確に示すとともに、投資や取引の抑制、評判の低下といった間接的な影響を狙っている。同時に、将来的な制裁・規制措置の可能性も示唆しているという。
米アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の非常駐フェロー、エリック・セイヤーズ氏は、「トランプ政権は、投資の抑制や、場合によっては制裁を含む、より断固としたデカップリング戦略の法的根拠として、このリストを利用するのではないか」との見方を示している。