米調査会社のIDCによると、世界のAI(人工知能)インフラ機器(サーバー及びストレージ)の市場は、2028年までに1000億米ドル(約15兆7000億円)を超える規模に達し、かつてない成長を遂げる見通しだ。世界市場をリードするのは米国だが、中・長期的に最も成長率が高いのはアジア太平洋地域と分析する。
サーバーがAIインフラ市場をけん引 後押しする「ハイパースケーラー」
IDCが定義するAIインフラ機器市場とは、サーバーとストレージで構成される。その中で限定されるのは、①AIモデルの訓練(学習)を行う基盤の「AIプラットフォーム」、②AIモデルが推論を行う「AIアプリケーション」、③何らかのAI機能を備えた「AI対応従来型アプリケーション」、の3つのいずれか1つ以上の実行環境となるサーバー及びストレージである。
このうち、市場成長のけん引役はサーバーで、そのAIインフラ機器全体への支出総額に占める比率は約90%に上る。米アマゾン・ドット・コムの米AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)や米グーグル、米マイクロソフトといった大規模なクラウドインフラを持つ「ハイパースケーラー」などが投資を拡大している。AIサーバーへの支出額は9半期連続で2桁増となった。
これとは対照的に、一般企業は、自社でハードウエアやソフトウエアを保有し、管理・運用するオンプレミスのAIインフラ導入において、「大きく後れを取っている」(IDC)。
「アクセラレーテッドサーバー」約6割に
サーバーのうち、GPU(画像処理半導体)などのアクセラレーターを組み込んだ「アクセラレーテッドサーバー」は、 AIインフラで使われるサーバー全体の58%を占めており、その2024年前半における成長率(前年同期比)は63%だった。