ミーティングをマンネリ化させないために

 ミーティングのあり方にも一家言を持っている。

「どうも会議がマンネリ化している」そう悩む人には、以下の方法が参考になるのではないだろうか。黒田監督は、毎週末開催される試合の前にいつもミーティングを開くが、その際、毎回異なるメッセージを選手へ伝えている。

毎試合、いつも状況も違いますから、視点などを微妙に変化させて伝えています。また、内容がマンネリ化しても選手の心に響かないので、彼らに与える情報も少しずつ変化させています。

 毎回異なる戦略を提示しているわけではない。どうすれば伝えたいことが伝わるのか、視点を変えたり、メモしてあった良いフレーズを使ったりしながら、毎回1週間かけて最適化を図っているのだ。

 ビジネスの状況も毎回同じではない。顧客の反応やどう働きかけたかなど、その時その時で状況は異なる。「同じような会議」はありえないのである。相手の心に響かせるためには、マンネリ化させず、どう最適化するかが問われている。

黒田監督の経歴

尊重する気持ちがベテランを変える

 組織の中で「老害」といわれる「悪いベテラン」に悩まされている人も多いのではないだろうか。黒田監督は、この「悪いベテラン」は会社には必要ないとしながらも、ベテランがきちんと機能し、組織の能力を最大化させられるかどうかはリーダー次第とも述べている。

 黒田流「ベテラン」への接し方は、「尊重すること」だ。

 悪いベテランであっても、経験値や「周囲が知らない時代の知識」は持っている。だからこそその人にしかできないことを考えてあげて、アドバイスを求めるなど適切に頼ると「悪いベテラン」も「良いベテラン」として生き返らせることができる。もちろん簡単なことではないが、少し心持ちを変えるだけで実践できそうでもある。

 黒田監督が実践してきた方法は、一見簡単なようで一筋縄ではいかないものが多い。しかし、それこそ「習慣化」ができれば大きく組織を変換することも可能だ。すぐには結果が出なくても、良い行動は習慣化できるまで継続する。それさえできれば、1年後、5年後、10年後、何かしらの結果は出ているはずだ。まずは明日から、黒田流マネジメントを試してみてはいかがだろうか。

勝つ、ではなく、負けない。結果を出せず、悩んでいるリーダーへ』(黒田剛著、幻冬舎)