ポスティングシステムの“抜け穴”とは

 上沢投手の日本球界復帰に際し、クローズアップされているのが、ポスティングシステムで米球界に移籍した選手の「出口」だ。ポスティングシステムによるメジャー移籍には、最低でも何年以上は日本球界に復帰できないといった規定や、日本球界に復帰したときに元の所属球団と最優先に契約交渉を行わなければならないなどの決まりは存在しない。

 さらに言えば、国内FA権を取得した選手が、他球団に移籍する場合、翌シーズンの年俸は現状維持が上限と定められているが、米球界を経てFAになった場合は、この制約の対象からも外れている。

 上沢投手と同じように、「ポスティングの抜け穴」だと批判された選手が過去にもいる。日本ハムからポスティングシステムを利用して20年オフにレンジャーズと2年契約を結んだ有原航平投手だ。

日本ハムのファンからは批判も(写真:共同通信社)

 有原投手はメジャー2年間で3勝7敗、防御率7.57と結果を残せず、23年からソフトバンクと3年総額12億円(推定)で契約して日本球界に復帰。今季は最多勝のタイトルを獲得し、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

 有原投手の場合も、日本ハムで6年プレーし、国内FA権の取得前のメジャー挑戦だった。日本球界への復帰に際し、国内FA権を保有しない有原投手が渡米から2年で、どの球団とも自由に交渉できたことで「有原式FA」と揶揄された。

 有原投手の場合、日本ハムはレンジャーズから約1億3000万円の譲渡金を受け取っていた。上沢投手のケースで、さらに批判の声が大きくなったのは、メジャー挑戦の期間がわずか1年と有原投手よりも短く、ポスティングによる譲渡金も少額だった点が影響しているだろう。