「ペイパル・マフィア」が規制緩和で大儲け

 だが、DOGEでのマスクの本当の狙いは規制緩和だ。

 マスクが規制の撤廃に成功するという市場の期待が、彼の財産の急増をもたらした。

 マスクが投資している仮想通貨ドージコインからテスラ、スペースX、ニューラリンク、xAI(エックスエーアイ)に至るまで、マスクの企業はすべて急成長している。

 マスクの利権の幅広さと複雑さを考えると、メディアや議会、その他の監視団体が複数の思惑に監視の目を光らせておくのは難しい。

 明らかなリスクには、自動運転システムに対するテスラの責任の軽減、スペースXが米国防総省から得る契約(おおむね機密とされる契約)の拡大、マスクが投資するAIや脳内チップに対するあらゆる類の許認可が含まれる。

 マスクは対等な立場のなかでも優位に立つ人物だ。

 だが、オンライン決済会社を立ち上げた当初の「ペイパル・マフィア」の他のメンバー、なかでも特にピーター・ティールとデビッド・サックスも恩恵を受けている。

 国防総省からの大型契約(やはり内容はおおむね機密にされている)を取りつけているティールのデータ分析企業パランティア・テクノロジーズの企業価値は今や、旧世界の米国軍産複合体の象徴であるロッキード・マーチンよりも高い。