世界中に展開する米空母力に対抗できるか

 各国の海軍艦艇は、実任務と補給整備および教育訓練の3分野でローテーション運用されているといわれている。

 米海軍協会(USNI)ニュース(7月8日付)によると、現在、空母「ジョージ・ワシントン」は、母港である日本の横須賀に向け太平洋を航行中である。

「カール・ビンソン」は、ハワイ諸島および同周辺海空域等で行われている環太平洋合同演習(RIMPAC2024、2024年6月27日~8月2日)に参加中である。

 ロナルド・レーガンは東太平洋の第3艦隊の海域で、ニミッツは太平洋北西部で、それぞれ活動中である。

 欧州では、「ドワイト・D・アイゼンハワー」空母打撃群が地中海で行動中である。

 海軍の運用常識に従うと、現在、空母3隻保有の中国は、1隻を実任務に割り当てるのが精一杯ではなかろうか。

 しかも、中国海軍、中でも空母は実戦経験が全くなく、西太平洋(フィリピン海)や東・南シナ海での諸活動も、運用試験や訓練・演習の域を出ていないのではないかと推察される。

 米海軍は、地球の表面の3分の2以上を占めるグローバル・コモンズとしての世界の海洋において、米国の戦力を陸上に投射し、あるいは世界中の米国の利益を守るため、米軍事力を機動と作戦の手段に変える能力を米国に与える役割を期待されている。

 そのため米海軍は、世界の海洋を利用する能力、そして他国が米国の利益に反する行動をとるために世界の海洋を利用することを否定する能力を持つことを目標に造成されている。

 その中心が、空母機動打撃群である。

 前述の通り、中国は将来的に原子力空母の建造計画が存在すると指摘されているが、果たして世界の海洋で米国に対抗できる海軍力、中でも空母機動打撃群を造成できるどうかについては、大きな疑問を呈することができるのではなかろうか。