巨額汚職疑惑、元官僚で企業家の反論

 2018年11月に渡米したのは、病気治療のためで逃亡ではなく、その時は汚職の容疑もかけられていなかった、という。そのころ、李傳良は長年の仕事のストレスで体調不良に陥り、これ以上、官僚の仕事を続けられないとして、2014年5月に辞職願を上層部に提出していた。

 上層部の審査に時間がかかり、辞職が受理されたのち、ようやくパスポートが発行され、米国で治療を受けることができた、という。李傳良は官僚を辞職すると決めた後は、民間で様々なビジネスをはじめ、最終的には都市開発企業も経営するようになった。

 おそらくは官僚時代のコネを利用して、政府案件を受ける形で数年で企業は発展したのだろう。その企業が、国有資産横領などの容疑をかけられたわけだ。李傳良に言わせれば、差し押さえられた資産は民間企業として合法的に得たものだ、という。

李傳良氏の告発を報じた大紀元のウェブサイト

 インタビューで李傳良はなぜ、官僚を辞職したのかという質問に対して「一言では説明できない。権力闘争などもあり、体制内の多くの闇を知ってしまい、自分には向かないし、またそこで生き抜く能力もないと見切った」「実際、体調不良に陥っていたが、長年の経験で得た自信もあり、民間でビジネスをやろうと思った」と語っている。

 李傳良は昔の学友や親戚らと一緒にビジネスを拡大。その中の一つの都市開発企業で、鶏西市の保障性住宅(安価で庶民に賃貸提供する公団住宅)建設のプロジェクトを引き受けていた。鶏西市政府の代わりに保障性住宅を建設し、それを政府に買い取ってもらう。おそらく、この汚職容疑の捏造は、こうした保障性住宅に対し、政府がお金を払いたくなく、ただで没収するためではないか、という。

 李傳良は「差し押さえられた(1021軒の)不動産に私の個人名義のものは1軒もない。また私の親戚家族の名義のものもない。開発企業として持っている不動産だ。そして開発企業は政府のため、鶏西市の困窮している庶民が政府に住宅難を陳情したことを受けて、その問題を解決するために、政府の代理で建設したものだ。政府が購入すると協議した上で建設したものだ」

「正直、自分にこんなに多くの資産があったことに驚いている。この(31億元の)資産のデータが正確なのか私には確かめるすべがない。実際一部の資産はきちんとデータがあるのだろうが、それは合法な私の企業の資産だ。彼らは報復のためか、あるいは資産を奪うためか、とにかく罪名をでっちあげたのだろう」と主張している。