当社では震災の影響で受注するはずだった案件が先送りになり、案件の獲得に躍起になっている。技術者の仕事がなくなってしまうからである。システム会社にとって、技術者が稼働する案件がないというのは「致命的」なことである。

 当社が手がける案件は、当初から受注を前提として話が来ることが多かった。だが、震災後は、数社競合の入札形式になってきている。

 先日、ある案件の提案期日が迫ったので、社内で手分けして、RFP(提案依頼書)に基づき提案書とプレゼンテーション資料の作成を始めた。

 営業部と技術部が作成する提案資料や、それぞれのプレゼンテーションの中身などを比べると、明らかに営業部の資料やプレゼンの方が魅力的である。

 営業部が作成する提案書には、最新の開発技術や運用方法が盛り込まれている(ただし、中にはその会社では実現できないようなものまで書かれていることもある)。

 一方、技術部が作成する資料は、ごく普通の、実行可能なことしか記載されていない。やや魅力に欠けるのである。なぜならば、受注した場合に、技術部は自分たちが提案したことを実行に移さなければならないので、できることしか書きたがらないのだ。

 その結果、技術部の提案書は、中身が確実である代わりに、夢のある提案書にならないのである。

 もちろん発注者側は、「実現可能なシステムを提案してほしい」と考えている。だが、同時に、自分たちの業務がどんどん拡張していく姿をイメージさせてほしい、「夢」を見させてほしいとも考えているのだ。

 よって一番いい提案書は、営業部と技術部が合同で検討し、案件ごとに両者の提案の比率を調整して作成した提案書である。

 その上で、最終的にITコーディネーターなど外部の第三者の評価者を入れて提案書を審議するのが、最も理にかなっていると思う。

品質を検証する専門の会社がもっと必要

 その道の専門家の判断、評価は非常に大事である。やはり「モチは餅屋」なのだ。

 私は、システム開発工程の中で一番大事なのは、納品時のシステム品質を確保することだと考えている。具体的には「瑕疵(バグ)」をどれだけ減らせるかということだ。

 システム開発会社ごとに技法、方法論、技術者が異なっている。その違いが、バグの発生頻度の差となって現れる。