アジアや中東でもクラウド投資拡大

 23年におけるアマゾン全体の設備投資額は、主に物流倉庫や輸送関連の支出抑制によって減少に転じた。その一方で、AWS向けインフラ支出の割合は急増している。

 米調査会社のデローロ・グループ(Dell'Oro Group)によると、アマゾンの総設備投資額に占めるデータセンター設備投資額の割合は23年に、過去10年で最高の53%になった。アマゾンはAWSインフラへの支出が24年も高水準を維持するとみている。これを裏付けるかのように最近は同分野への投資計画を数多く発表している。

 例えば、24年6月には、今後15年間で台湾に数十億米ドル(数千億円)を投じ、データセンターを建設すると発表した。AWSのインフラ・リージョンを25年初めまでに台湾で立ち上げ、台湾及びアジア太平洋地域におけるクラウドサービスへの高い需要に応えるとしている。

 24年5月には、今後5年間でシンガポールへの投資額を倍増させると発表。28年までに120億シンガポールドル(約1兆3000億円)を追加投資する。

 また24年3月には、サウジアラビアでデータセンターを開設し、同国で53億米ドル(約7500億円)超を投じると明らかにした

AWS、クラウドインフラ市場でシェア32%

 AWSは今後、サウジアラビアやマレーシア、タイ、ニュージーランド、欧州、メキシコにおいて6つのリージョンと、計18のアベイラビリティーゾーン(AZ)を新設する。AWSは米バージニア州や米オハイオ州など、米国でも事業を拡大している。

 米調査会社のシナジー・リサーチ・グループによると、24年4~6月期における世界クラウドインフラ市場でAWSは32%のシェアを獲得し、首位だった。これに米マイクロソフトと米グーグルが、それぞれ23%と12%のシェアで続いた。