組織構造も変更、中間管理職削減でフラット化

 勤務体制の変更に合わせて、組織構造も変更する。組織をフラット化するために、階層を減らす。具体的には中間管理職であるマネジャーの数を減らし、構造の簡素化を図る。マネジャーと現場担当者の構成を見直し、現場担当者の比率を現状から15ポイント増やす。25年3月末までに実施するという。

 ジャシー氏は、「ここ数年でチームを急速かつ大幅に拡大してきたため、当然ながらマネジャーが増えた」と述べ、「これにより、弊害が生じている。例えば、意思決定会議前の事前会議、さらにその前の会議といった具合に、テーマが進む前に複数のマネジャーがレビューする必要があり、承認プロセスが長引いている」と説明した。

 同社は、19年末から21年末までの2年間、急増するEC(電子商取引)需要に対応するため、従業員数を80万人増やし、160万8000人へとほぼ倍増させた。この期間、オフィス職の従業員数は20万人から38万人に増えた。その後、巣ごもり需要が一服し成長が鈍化すると、上場以来最大の整理解雇(リストラ)を進めた。これにより従業員数は24年3月末時点で153万人にまで減った。

 だが、コロナ禍で増えすぎた中間管理職によって、組織に階層が増えた。ジャシー氏はこれによる承認プロセスの煩雑化を問題視し、組織改革に着手する。既に社内に「官僚主義メールボックス(Bureaucracy Mailbox)」と呼ぶ目安箱を設けたという。従業員が、不要で過剰なプロセスやルールを幹部に直接報告できるようにした。

 ジャシー氏は、「私たちは、世界最大のスタートアップのように運営したいと考えている」と表明。「それは、常に顧客のために発明する情熱と緊急性を持つこと。加えて、迅速な意思決定、機敏性と倹約、深くつながった協力関係、互いに対する共通のコミットメントを持つことを意味する」と説明した。「深くつながった協力関係」については、「発明したり難問題を解決したりする際にはチームメイトと一心同体である必要がある」と強調した。