「最近どうもやる気が出ないし疲れやすい。イライラするしよく眠れない」
こんな症状が出てきたら男性更年期障害を疑ってみよう。
更年期障害といえば女性だけのものだと長年考えられてきたが、男性にも多いという認識が近年徐々に浸透してきた。しかし、実際には「おかしい」と思う症状が出てきても男性更年期障害を疑う人は少ない。結果として苦しみが長引いてしまう。
まず先に男性更年期障害を疑ってみよう
昭和大学藤が丘病院泌尿器科・医長の佐々木春明准教授は、見過ごすことの問題点をこう指摘する。
「本当は男性更年期障害であるにもかかわらず、うつ的な症状が出ている場合は心療内科に、不眠症や頭が重いという症状は脳神経科や耳鼻科に行くケースがほとんどです。そこで原因がつかめなかったり症状が改善しない場合に初めて、男性更年期障害を疑って、専門の外来に来ることが多いのです」
心療内科では、もっぱら本人の症状を聴くことが診察の柱となっている。血液検査をすれば更年期障害だとすぐに判別できるのだが、ほとんどの病院では血液検査はしない。抗うつ薬を投与しても、うつではないのだから症状は改善しない。するとさらに薬を増やすという悪循環が生まれる。改善しないことに疑問を感じてそこで初めて男性更年期障害を疑うのだ。そこには無駄な長い苦しみがある。
「こちらにいらっしゃる患者さんのだいたい4分の1から3分の1は、既に抗うつ薬をもらっている患者さんです」
更年期障害の検査は、血液中の男性ホルモンの量を調べる。その数値が低ければ更年期障害と判断できるのでその治療を行い、正常ならば、心療内科など他の科で診察を受ける。白黒が明白に出るので、順番としては更年期障害を先に診る方が理に適っているのだ。だからこそ、症状を知っておくことが重要になる。
疲れやすい、不安感、イライラが出たら要注意、
症状は大別すると3種類。精神心理症状と身体症状と性機能関連症状だ。
精神心理症状としては、抑うつ、苛立ち、不安感、疲労感など。気持ちが沈んでうつ的な症状を呈したり、疲れやすかったりイライラしたりする。