加えて、加害者の人権が、被害者のそれよりも優遇されるという、最近の風潮がある。検察や警察にもそのことが感じられる。だから加害者はマスコミも司法も舐めている。

 テレビ局は自身がカスハラの被害に遭っているはずなのに、防犯カメラに映った犯罪者の顔には、かれらの人権を考慮してなのか、モザイクをかける始末である。

 カスハラをする者が調子に乗るのは、どんなに相手を罵倒しても、けっして言い返されないし、抗弁されることもない、と高をくくっているからである。まして反撃されることなど、絶対にありえない。

カスハラ対策の基本方針の発表は画期的

 そこでいまカスハラ対策で最も重要なことは、企業(組織)のトップが「従業員の安全第一」の方針を立てることだと思う。

 その意味で、多少遅きに失したきらいはあるが、JR西日本の長谷川一明社長が今年(2024年)5月、カスハラ対策の基本方針を発表したことは画期的だといっていい。

「カスタマーハラスメントと判断される言動が認められた場合は、従業員を守るため毅然とした対応を行い、必要により商品・サービスの提供やお客様対応を中止します」「更に、悪質なものや犯罪行為と判断した場合は、警察・弁護士等と連携し、法的措置等も含め厳正に対応します」

カスタマーハラスメントと考える行為の例

 なによりも一番大切なことは、「従業員を守るために毅然とした対応を行うこと」である。いま求められているのは、企業トップのこのような覚悟表明である。

 JR東日本も同様の対応方針を公表した。また航空業界やホテル業界でも取り組みが進んでいるといわれる。自民党は岸田首相にカスハラの対策強化を提言し、厚生労働省は法改正を検討しているというが、本気でやってもらいたい(厚労省のHPには令和3年度「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が掲載されているが、こんなので効果あるのか)。

 経団連は金儲けばかり考えずに、従業員たちの安心安全を考えて「毅然とした」カスハラ対策を表明すべきである。コンビニ大手とデパート大手のトップは、いうまでもない。

 新聞・テレビのマスコミはキャンペーンをしてもいい。AC JAPANも加勢しなさい。カスハラは社会悪であり、それをなす者は醜悪だ、という社会的コンセンサスをつくりあげるのである。これがそのうち国民の全体意志になるといい。