国際ジャーナリスト山田敏弘氏が「週刊ポスト」(2017年6月16日号)に寄稿した記事でも、小池氏のインタビュー動画を見たカイロ在住の通訳・翻訳家モハメッド・ショクバ氏(カイロにあるイスラム世界最古で最も影響力のある宗教大学であるアズハル大学卒)が次のように述べている。
「留学していたのが40年前だとしても、信じられない。あまりにお粗末でカイロ大学を卒業して通訳をやっていたという話を疑ってしまうほどだ。話す文章は完結しておらず、普段私たちが使うことのない単語を使っている」(同記事より)
学歴に関する数多くの嘘
小池氏は、「カイロ大学卒業」ということ以外にも、自身の学生生活や成績に関し、数々の嘘をついたり、事実と異なる説明をしている。
その最たるものは、カイロ大学を「首席で」卒業したというものだ。著書の『3日でおぼえるアラビア語』(昭和58年刊行)の奥付には「カイロ大学文学部社会学科を、日本人として2人目、女性では初めて、しかも首席で卒業」と書いてある。
しかし、小池氏がごく一部のメディアに見せている卒業証書と称する書類には、成績が「ジャイイド(good)」と書かれている。カイロ大学の成績は、上から「イムティヤーズ(ムムターズ)(excellent)」「ジャイイド・ジッダン(very good)」「ジャイイド」「マクブール(accepted)」で、それより下は不合格である。「ジャイイド」は合格点のうち、下から2番目で、これで首席卒業はあり得ない。
また自著『振り袖、ピラミッドを登る』(1982年刊)の奥付の著者略歴で、カイロ大学入学前に、「1971年カイロ・アメリカ大学・東洋学科入学(翌年終了)」と、筆者が卒業した大学の学部にあたかも入学して修了したように書いたり、別のプロフィールで「カイロ・アメリカ大学東洋学科を卒業した」と書いたりしている(後者ではカイロ大学卒業とは書かれていない)。
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しかし、小池氏がいたのはカイロ・アメリカン大学のCASA(Center for Arabic Study Abroad=海外アラビア語学習センター)の外国人向けアラビア語コースであることは同大学のホームページにも書かれており、同大学に東洋学科などというものは存在しない。
なおCASAのアラビア語コースには、(筆者が在籍した1984~85年当時)初級、中級、上級コースがあり、コース修了者には成績表と終了証書が与えられる。しかし、小池氏はそのいずれも公開していない(筆者は上級コースを修了し、成績表と終了証書はいつでも公開できる。小池氏の時代にも成績表と終了証書が出ていたことは、小池氏と同じ未修者のクラスにいた日本人ビジネスマンから確認が取れている)。
また著書などで1972年10月にカイロ大学に入学し、1976年10月に卒業したと述べているが、『振り袖、ピラミッドを登る』の中に、1年目は落第したと明記してある。それならば卒業は1977年以降でなくてはならないのは、ノンフィクション作家の石井妙子氏が『虚飾の履歴書』で指摘する通りだ。小池氏からはこの点についての説明はいまだに無い。