ヒゲとハゲは兄弟!?――男性ホルモンの仕業

 ヒゲは、はげることを除けば、男性の成長で現れてくる性を表す痕跡の最後の生き残りとしても特徴的である。生物学者は、ヒゲとはげの両方が、テストステロンなどの男性ホルモンによって促されること、そして、伸びる速さがホルモン分泌の自然なサイクルによって変わることをつきとめた。

(写真:WavebreakMedia/イメージマート)

 ある科学者は1970年の『ネイチャー』誌で、遠方にいる恋人を訪れる前の数日にヒゲが速く伸びたことがわかったと報告した(ヒゲ剃り後に電気カミソリ内にたまった毛の重さを量った)。そこから、性行為を期待することで男性ホルモンのレベルが急上昇し、ヒゲがより速く伸びることになったと推論した。

 のちの研究で、男性ホルモンの生成は1日のうちの周期と並んで5日から6日の周期に従っていて、顔の毛の成長もこの変化を反映していることがわかった。カリフォルニアの研究者は1986年に、病気と時差のどちらもが、自分のヒゲが伸びる速さに影響したと報告した。それによって明らかにホルモンのリズムが混乱したというのである。

 近年では、男性ホルモンを毛包とつなげる顔と頭皮の内分泌経路が、生物学者によってつきとめられている。ヒゲが生えて毛がなくなるメカニズムの一部に男性ホルモンが存在することは明らかになったのだが、だからといって、男性ホルモンがどうしてその機能を進化させたのかという説明にはなっていない。