住吉りをん選手(写真:共同通信社)

ゴールデンから深夜へ、競技人気が陰る中で生まれた「新星」

 かつてはゴールデンタイムに華々しくテレビ放送されていたフィギュアスケートだが、最近は深夜や昼間の放送に移りつつある。浅田真央さん、羽生結弦さんら、スター選手の現役引退とともに、大衆的な競技人気は陰りを見せつつあるのだろう。国際大会におけるロシア選手不在の影響も大きい。

 だが、昨今の日本のフィギュアスケート競技が面白くないかといえば、決してそんなことはない。近い将来のスター候補たちが続々と頭角を現しつつあり、むしろ競技としてのフィギュアスケートの多様な進化を感じさせるのだ。

 女子選手に注目すると、新たな注目選手が登場した。住吉りをん選手である。

 グランプリシリーズ・フランス大会で4回転トーループを決め、一躍その名を轟かせた。4回転トーループのスケート連盟(ISU)公認大会での成功は、日本人初である。「4回転」ジャンプという点でいえば、2002年に安藤美姫さん(当時14歳)が4回転サルコウを成功させて以来、実に21年ぶりの成功となった。

 住吉選手は、フランス大会のショートプログラムでジャンプのミスが出て5位と出遅れたが、4回転の成功もあり、フリーは全体の1位。総合3位となり表彰台に上がった。11月17日から始まるフィンランド大会にも出場し、上位6人が出場するグランプリファイナルの切符をかけて戦う。

住吉りをん選手(写真:共同通信社)