中国では住宅需要が低迷する一方で、賃貸物件の需要は高まっている。なかでも建物を一括して借り上げて賃貸経営する「サブリース」物件の注目度が高まっている。持ち家信仰が強かった中国でも、「持ち家から賃貸へ」という動きが今後進むことは間違いないだろう。(JBpress)
中国のGDPの20~30%を占めると言われる不動産業だが、このところ住宅需要が減少する傾向が明らかになっている。例えば、2023年に住宅購入を予定していた人の60%超が購入を取り消した、という記事が出ている(「2023年中购房意愿白皮书」)。また、住宅購入ローンの融資額が減少している(「央行最新公布!购房贷款罕见减少,楼市小阳春彻底没戏了?」)。
それとは反対に、賃貸物件の需要は高まっている。賃貸住宅の利用者は、2019年に約1.9億人だったものが2022年に2.4億人超となり、2030年には2.6億人を超えると予測されている。人口減少が始まっていること、一人世帯が増加していることを考えると、賃貸というライフスタイルが今後ますます広まっていくことは確実だ。「この10年が賃貸住宅市場の黄金期だ」と、市場成長を期待する声が出ている。
ただ、賃貸住宅に対する需要は、都市ごとに大きく異なる点には注意が必要だ。次にグラフに示すように、若い人、流入者が多い広州や深圳などの都市での賃貸割合が、明らかに高くなっている。
賃貸住宅需要の高まりとともに、会社が建物を一括して借り上げて賃貸経営する「サブリース」企業の注目度が高まっている。これまで中国では、入居者と大家との間で直接契約することが多かったが、急な家賃値上げや入居/退居時のトラブルなど、さまざまな問題が起きていた。
それに対して、サブリース型の物件は、統一されたサービスや明確な契約内容が支持されている。2023年上期は96万部屋がサブリース物件として新たに貸し出されており、これは前年度比10%近い増加だった(「2023年上半年集中式公寓规模榜单」)。
サブリース事業では、複数の建物からなる団地すべて一括して管理する、というような試みも広がっている。