「話し下手のせいで話が伝わらず、仕事の成果が出ない」
「人見知りのために、お客さまとよい関係性が築けず、話を聞いてもらえない」
「プレゼンでも商談でも、すぐに緊張してしまって自分の主張が通らない」
自分の「話し方」について、こんな悩みや不満はないだろうか。『人を「惹きつける」話し方』著者の佐藤政樹氏は、劇団四季で主役を務めた俳優であり、話し方、伝え方に関する「TEDx」の講演が40万回も再生される人気研修講師。
もともと極度の人見知りと口下手で、就職活動は全滅、アルバイトとして就いた営業職では、お荷物赤字社員で、まさかの戦力外通告……。
そんな佐藤氏だったが、チラシ配り、テレアポ、携帯電話販売、ツアーガイド、銀座のキャッチ、結婚式の司会業など、ありとあらゆるアルバイトを通して話し方の独自の手法を編み出すことに。劇団四季時代に創設者の浅利慶太さんから直接教わった「伝えることの本質」を掛け合わせた惹きつける話し方の「極意」とは。
(*)本稿は『人を「惹きつける」話し方』(佐藤政樹、プレジデント社)の一部を抜粋・再編集したものです。
(佐藤 政樹、企業研修講師/講演家)
話すために、書く練習から始めよう
人を惹きつける話し方を身につけるためにはどうすればいいのか。最も具体的で簡単な練習方法は「書く練習」です。
「えっ? 話し方なのに書く練習?」
ひょっとしてこう思ったかもしれませんが、決していい加減なことをいっているわけではありません。これからお伝えするのは、ただの書く練習ではなく、「話すための書く練習」。これによって、人を惹きつける話の素材が「腹」にどんどんストックされていきます。同時に、ある程度の基礎が身につきます。
書く行為は、あなたの中にある漠然とした想いや考えを言葉に変換する訓練です。書く練習は、「発声」と「発想」の合致のための練習です。発声と発想の合致により言葉をつむぐ練習は、いきなり話しはじめるよりも、まずは書いてみる方がやりやすいのです。
書くためには頭の中を整理し、まとめる必要があります。頭で整理できてない・まとまってないものは、当然ながら話せないし実感もできません。
一つ、大事なことを。この練習の目的は、作文が上手くなることではありません。あくまで、「話すための書く練習」。惹きつける話し方を身につけて、仕事で結果を出すための土台作りです。続ければ基礎ができあがっていきます。
しゃべりのプロであるお笑い芸人さんは、話し方を歩くときのテンポにたとえます。
ゆっくり普通に歩いて突然ストップ。しばらく間を取った後、ゆっくりゆっくりすり足で前に進んだと思ったら、突然走りだしてスキップ&ジャンプ。
素晴らしいテンポ感の天才的なお笑い芸人さんも、最初からあのように話せたわけではありません。赤ちゃんが生まれてからハイハイを経由して、ゆっくりと二足歩行を始めるのと同じです。
特に口下手な人にとっては、書く練習は惹きつける話し方を身につけるための「赤ちゃんのハイハイ」のプロセスであり、惹きつける話し方を身につける絶好のトレーニングなのです。
これからお伝えする「話すための書く練習」により、実感できる話の素材が腹にどんどんストックされていくのと同時に、人を惹きつける話し方の型が身につきます。
不安に感じる方がいるかもしれないので、ある口下手の方が「書いて」大変身したストーリーを、ここでお伝えします