(小林偉:放送作家・大学講師)
20世紀アメリカを代表する作曲家
巨星墜つ。
2023年2月9日、20世紀アメリカを代表する作曲家、バート・バカラックが亡くなりました。享年94。
1928年5月12日、アメリカ中西部に位置するミズーリ州カンザスシティで生まれたバート・バカラックは、音楽好きの母の勧めで幼い頃からピアノとドラムを習っていたそうです。ご本人曰く、それほど音楽に興味はなかったものの、学校から帰宅後最低1時間半は練習することを義務づけられていたため、否が応でも上達していったとか。
その後、バートが高校生になる頃、ニューヨークへ引っ越したバカラック一家。高校では仲間とバンドを結成し、時折観客を前にしての演奏も披露していました。
その頃、ジャーナリストである父に連れていかれたジャズクラブで、ディジー・ガレズビーやチャーリー・パーカーという音楽史上に残る名プレイヤーたちの演奏を目の当たりにし、俄然音楽への興味が増していきました。そしてニューヨークのマンズ音楽院や、カリフォルニアのサンタ・バーバラ音楽アカデミーで正式に音楽を学び、ピアニストとして軍の慰問団に加わり、各地を巡演。
その時に知り合った歌手の紹介で、ハリウッドの名だたるアーティストの伴奏を務めるようになったそうです。そして結婚を機にニューヨークへ戻り、作曲家への道を志しますが、思うようにはいかず、結婚生活も破綻。そんな時に、伝説の名女優にして名歌手であるマレーネ・デートリッヒのバンドの常任指揮者という仕事が舞い込みます。
それから5年にわたってアメリカ、ヨーロッパをツアーするうち、その名は高まり、作曲家としての仕事も入るようになりました。