沖縄にある米軍・嘉手納空軍基地で離陸準備する「F-22Aラプター」(2022年12月22日、米空軍のサイトより)

 次期戦闘機開発はなぜ、国産から国際共同開発になったのか。

 2022年12月9日、日英伊三か国首脳は、次期戦闘機共同開発協力に関し、「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Programme)に関する共同首脳声明」を発出し、2035年までに次期戦闘機を共同開発することを発表した。

 また、同時に発表された「防衛省と米国防省による共同発表」の中で、日本と米国は、次期戦闘機とともに運用する無人機開発などで連携していくことを発表した。

 GCAPの開発の主体になる企業は、機体については三菱重工業(日本)、BAEシステムズ(英国)、レオナルド(イタリア)。

 エンジンについては、IHI(日本)、ロールスロイス(英国)、アヴィオ(イタリア)。

 電子機器については三菱電機(日本)、レオナルドUK(英国)、レオナルド(イタリア)が、とりまとめ役となり、3か国の各企業を統括していくと見られている。

 ちなみに、英国の次期戦闘機開発プログラムである「テンペスト」計画に参加していたスウェーデンはGCAPには加わらない。

 さて、日本の次期戦闘機開発について、筆者は前稿『世界が絶賛する、日本の次期戦闘機(F-3)開発全貌』(2022.5.6、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69977)で、国産化が決定したと述べた。

 筆者は、前稿執筆当時、次のような理由から国産化に決まったと判断した。

 2011年度に生産が終了した「F-2」戦闘機以降、国内における新たな戦闘機開発事業は途絶えており、次期戦闘機の開発は国内の戦闘機の生産・技術基盤を維持するための重要な機会であった。

 そして、防衛省・防衛企業は、次期戦闘機の国産化に向けて並々ならぬ努力をし、自国生産ができる十分な実力をつけてきた。

 例えば、防衛省技術研究本部(現防衛装備庁)は1990年代から日本の技術で次期ステルス戦闘機の開発の可能性を探るため先進技術実証機(X-2)を開発した。

 また、日本の弱点と言われるエンジンもIHIが、米国の「F-15」やロシアの「Su-35」といった世界の一線で活躍する戦闘機のエンジンと同等以上の出力を持つ「XF9-1」という戦闘機用エンジンの試作機を開発した。

 さらに、防衛省は2009年に、「戦闘機の生産技術基盤のあり方に関する懇談会」を立ち上げ、次期戦闘機の国産化が行われなければ、わが国の防衛生産技術基盤を維持できないとする提言を発出した。

 加えて、米国の第6世代戦闘機の開発が遅れており、FS-Xの時のように米国から横やりが入らない状況だった。詳細は、拙稿『ついにベールを脱いだ米国の第6世代戦闘機』(2021.12.2、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67929)を参照されたい。

 以上のことから、筆者は次期戦闘機の国産化は間違いないと判断していた。ところが、案に相違して、国際共同開発となった。

 さて、以下、初めに国際共同開発になった背景を述べ、次にFS-Xの教訓と国際共同開発の課題を述べ、最後に日本の武器輸出規制の現状について述べる。