昨年12月19日、永田町に激震が走った。翔太郎氏が民放テレビ局の総理番女性記者と不適切な関係を持っているとの記事が有力週刊誌に掲載される――という噂が駆け巡ったのだ。報道各社が色めき立ったのは言うまでもなく、官邸サイドも大慌てだった。記事としては表には出ていないが、複数のメディアがその顛末を紹介しているので詳しくは触れない。

 自民党内には「閣僚の首を4人も斬ることができるのだから、長男の秘書官も更迭すべきだ」(中堅)との指摘がある。翔太郎氏の去就は政局混乱の火種になり得る。翔太郎氏に関しては、他にも醜聞が取りざたされており、長男の動向が注視される。

今のままでは岸田政権は瓦解しない

 4月8日に任期満了を迎える黒田東彦日銀総裁の後任人事は、2月上旬までに判明するだろう。日銀総裁人事は国会同意人事であるため、与党側に事前に情報が入る。雨宮正佳、若田部昌澄の両副総裁の任期満了が3月19日であり、黒田総裁よりも早い。このため、3月中に新総裁・副総裁が就任するというのが永田町の一致した見方だ。岸田首相が本格的に「脱アベノミクス」に舵を切る人事を行えば、政局がざわつくことも予想される。4月には統一地方選挙も控えており、5月の広島サミットまで息つく暇がない。

 岸田首相の政権運営は容易ではないが、現時点で岸田政権が瓦解する要素はないに等しい。いくら支持率が下がっても、大型国政選挙がないうえ、党内政局が起こる気配がまだないからだ。

 直近20年の日本政治をみてみると、国政選挙前後やその結果(森喜朗氏、麻生太郎氏、鳩山由紀夫氏、野田佳彦氏)以外での首相辞任の事例は、体調不良パターン(小渕恵三氏、安倍晋三氏)、投げ出しパターン(村山富市氏、福田康夫氏)、任期満了予告退陣パターン(小泉純一郎氏)、政局パターン(菅直人氏)に分類されるが、政局パターンの場合は党内の大物が動かない限り、なかなか起こらない。

 今、自民党内で岸田首相を倒せる大物は1人しかない。

 菅義偉前首相である。