写真/アフロ

(小林偉:放送作家・大学講師)

怒りは創作の原動力?

 日々、報じられる様々な社会的事柄や、身の回りの出来事に「何だよ、コレ!」的な怒りを感じるのは誰にでもあることです。それが作家やジャーナリスト、そして作詞・作曲家などとなれば、その怒りが創作の原動力になるというのは、ある意味、当然のことでしょう。パンクなんてその塊のようなものですが、今回はそんな“怒り”から生まれた歌詞を持つ、様々なジャンルの曲をご紹介したいと思います。最初は、こちら。

●FORTUNATE SON/CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL 

 トムとジョンのフォガティ兄弟を中心に、1967年にレコードデビューしたクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(略してCCR)。この長いバンド名の由来について、彼ら自身は公式にコメントしていませんが、クリーデンスは、友人の名前、もしくは“信用”という意味で、クリアウォーターは、当時ビールのテレビ・コマーシャルで流されていた“清らかな水”というフレーズから、そこに“復活”を意味するリバイバルを付けた・・・というのが定説。まぁ60年代のバンドらしく、あまり細かいことを考えず、インバクトのある名前にする意図だけで付けられたようですね。

 さて、この「フォーチュネイト・サン」という曲ですが、タイトルは「恵まれた家庭の子」といった意味、日本語で言うと「お坊ちゃん」っていう感じですかね。

 歌詞はとにかく痛烈です。ちょっと訳してみますと・・・

「世の中には、赤や白や青のいろんな国旗を振りかざすヤツがいる。あいつらは、楽団が“首長(チーフ)バンザイ”って演奏すると、“お前らも”みたいな感じになるんだ。俺は国会議員の子じゃない。お坊ちゃんじゃないんだよ」「生まれた時から、高い銀のスプーンを持っているヤツがいる。あいつらは痛い目には遭わないのか!?」「そのくせ、税務署が家にやって来ると、シラっとチャリティやってますみたいな顔してる。俺は金持ちの子じゃねぇ。そんな恵まれたガキじゃねぇんだよ」・・・と、金や権力を持った人々の子どもに敵対心を剥き出しにしている内容なんですよ。

 この曲が作られたのは、ヴェトナム戦争の真っ只中。その中で「国のために戦死しているのは貧しい若者ばかりで、金持ちや政治家の子どもは、見て見ぬフリをしている姿にムカついたことがキッカケだった」と作者のジョン・フォガティは語っています。

 最近、ロシアでも部分動員令に政府高官の息子が忌避したと批判の声が上がりましたし、日本でもお坊ちゃんたち、特に議員の子どもに対してなどは、かなり揶揄するような空気はありますよね。ドラマなどで金持ちや議員の子が悪事をもみ消してもらうなんて、よくありますし。そんな一般庶民の不満・怒りをパワーにした歌なんです。