財政が危機的状況にあることを明らかにし、思い切った改革に乗り出した東都大学野球連盟。舵取りを任されることになった西村忠之事務局長は、所属する22大学の共存共栄という理念を掲げ、改称、再編成、大型スポンサーの獲得と、これまでの常識にとらわれない大胆な施策を次々に打ち出していく。
※1回目「ドラフト候補を次々に送り出す東都大学リーグが進める大改革、いったいなぜ?」から読む
(矢崎 良一:フリージャーナリスト)
連盟の運営改革を円滑に進めるためアドバイザー契約を結んだ電通が、最初に提案してきたのはリーグの名称変更。『プレミアムユニバーシティズ22』への改称だった。
「プレミアム(高級な、値打ちのある)」という言葉の通り、自他共に認める大学野球界トップレベルの野球の質の高さを前面に出したネーミングだ。
とはいえ、2015年4月に「一般財団法人東都大学野球連盟」として法人登記が行われており、「東都リーグ」の名称が消えることはないが、「戦国東都」と称され、ファンの間にも浸透している看板を変えることには、「早急すぎる」という慎重論も当然ながらあった。
なぜ改称が必要だったのか。そもそも「戦国東都」というのは、単に激しい優勝争いだけでなく、入れ替え戦という架け橋により、1部と2部の12校が、いつ、どう入れ替わっても不思議ではないという厳しい戦いの構図により付けられた通り名だった。
しかし見方を変えると、それは1部と2部の12校に限定されたイメージであり、3部以下のチームは蚊帳の外になっていた現実がある。
「本来、東都大学野球連盟というのは4部までを含めた21大学で組織されていたものであり、そこに今春から新たに加盟した帝京平成大学を加えた22大学。『東都には22大学がいる』ということを、もっと内外にアピールするべきではないのか。それにより、下位リーグの大学も『東都の一員である』という連帯感をより強く持てるようになる」
東都連盟の西村忠之事務局長は、改称の狙いをそう説明する。